タドキストによる英語多読ブログ

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"narrow listening"のやり方と効果を論じた論文、Krashen (1996)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、多聴と関連する"narrow listening"に関する論文をご紹介したいと思います。"narrow listening"とは、同じトピック、あるいは同じ著者による英文に限定して聞くことを指します。

つまり、「英語学習」や、「私の家族」など、特定のトピックを決めて、そのトピックに関連した本や英文を聞くことをいいます。

今回ご紹介するのは、narrow listeningのやり方と効果を論じた論文、Krashen (1996)です。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。すでに470編以上の論文などに引用されている、非常に重要な論文です。

Krashen, S. (1996). The case for narrow listening. System, 24(1), 97-100. 

 

論文の内容のご紹介

この論文では、narrow listeningのやり方と効果を論じています。

まず、やり方については、Abstractに簡潔にまとめられています。

  • In narrow listening, acquirers collect several brief tape-recordings of proficient speakers discussing a topic selected by the acquirer. Acquirers then listen to the tape as many times as they like, at their leisure. Repeated listening, interest in the topic, and familiar context help make the input comprehensible. Topics are gradually changed, which allows the acquirer to expand his or her
    competence comfortably. Narrow listening is a low-tech, inexpensive, and pleasant way to obtain comprehensible input, and is also an easy way to get
    to know speakers of other languages.  (p. 97)

つまり、narrow listeningとは、学習者が自分に関心のあるトピックについて、その言語を上手に話す方に話してもらったテープを楽しく、繰り返し聞く方法だと述べられています。

このようにすることで、ローテクで、安価で、楽しく、理解可能な言語インプットが得られる、と意義を述べています。

 

この論文では、次々に異なるトピックを聞くこと(教科書を使ったリスニングはそうですよね)の欠点について、以下のように述べています。

  • beginning language classes tend to move from topic to topic fairly quickly, which does not allow students to take advantage of their background knowledge in aiding comprehension. In addition, students will probably not be interested in every topic covered in class.  (p. 97)

つまり、トピックが次々に違ってしまうと、背景知識を利用したリスニング理解ができず、学習者にとってすべてのトピックについて関心があるわけではない、ということが欠点と述べています。

 

そして、このnarrow listeningを授業で実際に導入する方法として、具体的に以下の提案が書かれています

  • Narrow listening can also be used in the classroom. One possible assignment is to ask each student to obtain three short recordings on a topic the class, or subgroup of the class, agrees upon.  (p. 99)

つまり、クラスやグループで同意したトピックに関して、各生徒が3つの録音テープを持ち寄って、みんなで聞く、という方法です。

 

今ではあれば、インターネットを利用して、もっと簡単にnarrow listeningができそうですよね。

 

最後に

今回は、narrow listeningのやり方や意義を論じた重要な論文、Krashen (1996)を紹介させていただきました。

もし詳細が気になれば、ぜひ、論文を読んでみてくださいね!

 

なお、このブログでは、多読に関連する研究論文の内容をご紹介したまとめ記事がありますので、よろしければ、参照用としてどうぞ。

erelc.hatenablog.com

 

また、今回の著者のStephen Krashen先生の論文については、これまでいくつか紹介した記事もありますので、以下に再掲させていただきます。

erelc.hatenablog.com

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erelc.hatenablog.com

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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