タドキストによる英語多読ブログ

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「外国語習得により重要なのはインプット?アウトプット?」に持論を述べたKrashen (1998)の論文のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、「外国語習得により重要なのはインプット?アウトプット?」に持論を述べた論文、Krashen (1998)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。350編以上の論文などで引用されています。

Krashen, S. (1998). Comprehensible output? System, 26, 175-182.  

https://doi.org/10.1016/S0346-251X(98)00002-5

 

論文の内容のご紹介

この論文の著者のKrashen先生は、意味がわかるインプット(comprehensible input)が、言語習得に何よりも重要だと述べて、インプット仮説(Input Hypothesis)を提唱した著名な研究者です。つまり、英語学習の文脈でいえば、意味がわかる英語をたくさん読んだり、聞いたりすることが習得の条件であるということです。

 

一方、カナダのイマージョン教育を受けて、たくさんのインプットを受けても、外国語の習得があまり進んでいない事例から、アウトプットの重要性を述べ、アウトプット仮説(Output Hypothesis)を提唱したSwain先生という方もおられます。つまり、書いたり、話したりすることが重要だということです。

 

この論文は、なぜインプットがアウトプットよりも重要なのかを、いくつかの先行研究を紹介しながら論じたものです。

 

この論文の結論としては、以下のように、インプットの方がアウトプットよりも言語習得に重要な理由が述べられています。

  • The CO [Comprehensible Output] hypothesis has numerous difficulties: 
    output and especially CO is too scarce to make a real contribution to linguistic competence; 
    high levels of linguistic competence are possible without output
    • there is no direct evidence that CO leads to language acquisition
    In addition, there is some evidence that suggests that students do not enjoy being "pushed" to speak.    (p. 180)

つまり、アウトプットできる場というのは非常に限られていて言語能力向上につながりにくいこと、アウトプットなしでも高いレベルの言語習得が可能であること、アウトプットをすることが言語習得につながることを示した直接的な証拠はまだないこと、がインプットの方が重要である理由として述べられています

さらに、無理に話させるような場を生徒は楽しめないだろう、と述べています。

 

確かに、インプットの方が計画的にしやすいし、インプットでも相当な言語能力は身につきそうですが、アウトプットも個人的には重要な気がしますが、みなさんは、このKrashen先生の主張についてどう思われますか?

 

最後に

今回の著者のStephen Krashen先生の論文については、これまでいくつか紹介した記事もありますので、以下に再掲させていただきます。

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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