こんにちは♪
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
このブログで、以前、「多読を行うことで語彙力向上にどのような効果を与えるのか」に関して、Waring & Nation (2004)や、Cho & Krashen (1994)、Pitts, White, & Krashen (1989)、Day, Omura, & Hiramatsu (1991)による論文を紹介させていただきました。
今回は、映画を見て、本を読むことで、未知語の習得が進んだことを報告した論文、Dupuy & Krashen (1993)をご紹介をさせていただきます。
論文のデータ
今回ご紹介する論文は、以下です。これまで400編以上の論文などに引用されている、たいへん有名な論文です。
Dupuy, B., & Krashen, S.D. (1993). Incidental vocabulary acquisition in French as a foreign language. Applied Language Learning, 4(1,2), 55-63.
論文の内容のご紹介
この研究の参加者は、アメリカの大学でフランス語を学ぶ学生さんたちです。以下のように分けて指導を行いました。
- 実験群:中級レベルの大学生15名。フランス語の映画Trois hommes et un couffinを、字幕なしで最初の5シーン分、40分程度見せる。その翌日、その続きの5シーンのスクリプトを40分間読ませる。この後、読んだテキストの中で1~6回使われていた、口語的で学生が知らないだろうと思われる語彙の意味を30個テストした。テストは4択(うち一つの選択肢は"I don't know")
- 統制群1:中級レベルの大学生13名。映画も見ていないし、テキストも見ていない。実験群と同じ語彙テストを行った。
- 統制群2:上級レベルの大学生9名。映画も見ていないし、テキストも見ていない。実験群と同じ語彙テストを行った。
その指導の差は以下の通りでした。
そして、実験群のスコアが統制群よりも有意に高かったことから、以下のように結論で述べています。
- The experimental group clearly outperformed both control groups, confirming that vocabulary can be acquired incidentally by foreign language students. (p. 58)
- A conservative interpretation of our results is that subjects gained an average of nearly six words after reading for 40 minutes and watching a film for 40 minutes (subtracting the experimental group score from the score of the highest-scoring comparison)... (p. 58)
つまり、外国語学習においても、意味に注意して読んだり聞いたりすることで、語彙を学習できると述べています。そして、この研究では、40分の映画視聴と40分の読解で、平均で6語程度(実験群のスコア―統制群のスコア)身についた、と述べています。
最後に
今回は、映画を見て、本を読むことで、未知語の習得が進んだことを報告した論文、Dupuy & Krashen (1993)をご紹介をさせていただきました。
これまでご紹介させていただいたCho & Krashen (1994)、Pitts, White, & Krashen (1989)、Day, Omura, & Hiramatsu (1991)と同様、多読が語彙習得に効果的であることが示されていますが、以下の点が個人的には気にはなりました。
- プレテストが実施されていないので、最初の語彙の知識に差があった可能性があること。それで、6語程度習得したとは言えないのではないかと感じること。
- テキストは映画のもので、かなり難しいはずで、未知語が多く含まれたものと考えられるけれども、語彙の習得効率が、他の研究で言われているよりもかなり高いように思われること。
今回はDupuy & Krashen (1993)のご紹介でした。
もしこの記事以上のことを知りたい場合は、論文を読んでみてくださいね!
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬