こんにちは。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
今回は、英語を読むことが、スペルの習得にも効果的であることを指摘した論文、Polak & Krashen (1988)をご紹介したいと思います。
論文のデータ
今回ご紹介するのは、以下の論文です。70編以上の論文などで引用されています。
Polak, J., & Krashen, S. (1988). Do we need to teach spelling? The relationship between spelling and voluntary reading among community college ESL students. TESOL Quarterly, 22, 141-146.
https://www.jstor.org/stable/3587067
論文の内容のご紹介
この研究の参加者は、Los AngelesのValley Collegeというコミュニティカレッジで英語を学ぶ中級レベルの大学生です。
この研究では、以下の3つの研究を、それぞれの目的に応じて行いました。
- 研究1:30名の参加者。自主的な読書習慣とスペルの習得状況を調査する研究。
- 研究2:15名の参加者。研究1と同じ研究目的を、研究1とは異なる語を使って調査する研究。
- 研究3:研究1,研究2の参加者を含む78名の参加者。学習者の母語によるスペル習得への影響があるかを調査する研究。
この3つの研究とも、以下の手順で行いました。
- 85~103語の分量の英語を2回聞き、そのまま書き取るディクテーションテスト
- 自主的に読書をどの程度行っているかに関するアンケートの実施
そして、ディクテーションテストにおいて、スペルの誤りのあった語数と、自主的な読書習慣や、母語との関係を、回帰分析を使って調査しました。
この研究の主な結果については、以下にまとめられています。
- In all three studies a significant negative correlation was found between questionnaire results and spelling errors: Those who reported more free reading tended to make fewer errors. (p. 142)
- No difference was found in spelling performance between speakers of languages with Roman alphabets and speakers of languages with non-Roman alphabets (r = -.097, n.s.). (p. 142)
つまり、自主的に読書をたくさんする人の方がスペルの誤りが有意に少なかった、ということと、母語がローマ字を使う文字体系と、使わない文字体系の間で、スペルのミスの違いはなかった、ということです。
そして、この結果をもとに、以下のようにまとめています。
- Our results suggest that voluntary reading will help spelling and lead to what is at worst a harmless implication: Students should be encouraged to do pleasure reading on their own. (p. 145)
つまり、生徒はスペルを身につけるためにも、楽しく読書をすべきだと主張しています。
最後に
このブログでは、これまで多読による読解力向上や、語彙力向上や、読解スピードの向上について、論文を紹介させていただいてきましたが、今回は、多読がスペルの習得にも有効だとする論文、Polak & Krashen (1988)を紹介させていただきました。
読むことは、言語能力の様々な側面に有効に働くのですね。
ちなみに、今回の著者のおひとりのStephen Krashen先生の論文をいくつか紹介した記事もありますので、以下に再掲させていただきます。
ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬