タドキストによる英語多読ブログ

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文脈の種類が読書による語彙習得に影響を与えることを説いた論文、Beck, McKeown, & McCaslin (1983)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、文脈の種類が読書による語彙習得に影響を与え、読書だけでなく語彙指導も必要であることを説いた論文、Beck, McKeown, & McCaslin (1983)をご紹介させていただきます。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。400編以上の論文などで引用されている、非常に重要な論文です。

Beck, I. L., McKeown, M. G., & McCaslin, E. S. (1983). Vocabulary ddevelopment: All contexts are not created equal. The Elementary School Journal, 83(3), 177–181. 
https://doi.org/10.1086/461307
 

 

論文の内容のご紹介

単語を覚えるのに、文脈から覚えるのが重要だとよく言われますよね。

 

この論文は、文脈の種類によって語彙習得に影響があることを示したものです。

まず、文脈の種類を以下の2つに分けています。

  • Pedagogical contexts(教育的文脈):未知語を習得するための教育用にデザインされた文脈
  • Natural contexts(自然文脈):特に何も手を加えられていない文脈

 

その上で、文脈から語彙の意味の推測のしやすさという観点から、以下の4つの文脈に分けています

  • Misdirective contexts(誤った意味を推測しそうになる文脈)
  • Nondirective contexts(意味を推測する手がかりのない文脈)
  • General contexts(文脈情報が多くも少なくもないもの)
  • Directive contexts(正しい意味を推測しやすい文脈)

そして、インフォーマルな語彙推測試験を行ったところ、正答率は、Directive > General > Nondirective > Misdirective の順番で高かったことを報告しています

 

そして、以下のように語彙習得のために重要なことをまとめています。

  • The following recommendations embody the main points of our view of vocabulary instruction. First, contexts presented for the purpose of vocabulary development should be pedagogical contexts. Second, meaningful contexts are only one aspect of effective vocabulary instruction. A vocabulary program should incorporate repeated and varied encounters with the instructed words if it is to be successful in expanding children's vocabularies.  (p. 181)

つまり、まずは語彙習得のためにデザインされた教育的な文脈を与えること、そしてそれだけでなくて、繰り返し、様々なかたちで語彙と出会うような語彙指導のプログラムを入れなければならない、と述べています。

 

読んで終わり、とか、多読をすれば語彙が増えるよね、といった単純な話ではなく、語彙習得のためには、どんな英語を読むのかが大切だし、しっかりと計画的な指導も必要だということなのですね

 

最後に

今回は、文脈の種類が読書による語彙習得に影響を与え、読書だけでなく語彙指導も必要であることを説いた論文、Beck, McKeown, & McCaslin (1983)を紹介させていただきました。

もし詳細が気になれば、ぜひ、論文を読んでみてくださいね!

 

なお、このブログでは、多読に関連する研究論文の内容をご紹介したまとめ記事がありますので、よろしければ、参照用としてどうぞ。

erelc.hatenablog.com

 

また、多読による語彙習得を促進するために、文脈が与える影響について研究した論文については、以下の記事でもご紹介しています。

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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