タドキストによる英語多読ブログ

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インプット中心の指導の方が、精読指導よりも語彙と文法の習得に効果的であったことを報告した論文、Rodrigo, Krashen, & Gribbons (2004)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、インプット中心の指導の方が、精読指導よりも語彙と文法の習得に効果的であったことを報告した論文、Rodrigo, Krashen, & Gribbons (2004)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。150編程度の論文などで引用されています。

Rodrigo, V., Krashen, S., & Gribbons, B. (2004). The effectiveness of two comprehensible-input approaches to foreign language instruction at the intermediate level. System, 32, 53-60.  

https://doi.org/10.1016/j.system.2003.08.003

 

論文の内容のご紹介

この研究の参加者は、アメリカの大学でスペイン語を外国語として学習する大学生です。全員が英語の母語話者で、初級スペイン語のコースを3学期間学習した、スペイン語の中級学習者です。

 

この研究では、以下の3つのグループに分け、異なる指導方法を採りました。いずれも指導期間は1学期間(15週間)です。

  1. Reading Group(14名): 自分で選書した本や、教師から与えられた本を読んだ。明示的な文法や語彙指導は行わなかった。指導者は、この論文の筆者。
  2. Reading-Discussion Group(12名): 教師から与えられた本(Reading Groupと同じ本)を読み、その本に基づいてディベートやディスカッションも行った。明示的な文法や語彙指導は行わなかった。指導者は、この論文の筆者。
  3. Traditional Grammar and Composition Group(14名): 精読を行う。明示的な語彙、文法指導を行ったスペイン語で書いたものに対しては、正確さを求めた誤り訂正を行った。指導者は、スペイン文学を専攻する大学院生。

 

つまり、最初の2グループは、インプット重視型の指導で、最後のグループは伝統的な精読、文法重視型の指導ということになります。

この指導の差を、語彙チェックリストテスト(300語は本物のスペイン語、100語は偽物のスペイン語から成るリストを使ったテスト)、スペインの教育科学省から刊行されている30問の選択式の文法テストスペイン語の文章を使ったクローズテスト3種類を行って、成果を検証しました

 

その結果は、語彙テストと文法テストにおいて、Traditional Grammar and Composition Groupよりも、Reading Groupや、Reading-Discussion Groupの方が有意に高い成績となったことを受けて、以下のように結論づけています。

 

  • Just reading for pleasure was shown to be at least as effective, or more effective, than traditional instruction. Had this program continued longer, it might have done evenbetter: Krashen (2002) has concluded that short term free reading programs (lessthan one academic year) are typically not as effective as longer term programs.  (p. 59)
  • The results thus provide support for the efficacy of comprehensible-input based approaches, confirm that vocabulary and grammar can be acquired via comprehensible input, and are consistent with a three-stage approach to increasing reading proficiency.  (p. 59)

つまり、楽しみのために読むことは、伝統的な指導よりと少なくとも同じくらい効果的、あるいはもっと効果的であり、理解可能な言語インプットを与えるアプローチで、語彙や文法は習得できる、と述べています。そして、その効果は、多読を1年以上長期間続けることでさらに高まるだろう、と述べています。

 

最後に

この研究では、以下のことが限界点として認められています。

  • 参加者が少ないこと
  • 3グループ間で指導者が異なること

 

今回は、インプット中心の指導の方が、精読指導よりも語彙と文法の習得に効果的であったことを報告した論文、Rodrigo, Krashen, & Gribbons (2004)をご紹介させていただきました。

やっぱり、読むことは言語習得のために重要なのですね。

 

ちなみに、今回の著者のおひとりのStephen Krashen先生の論文をいくつか紹介した記事もありますので、以下に再掲させていただきます。

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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