タドキストによる英語多読ブログ

1000万語以上の多読経験をもとに、多読の魅力を発信するブログです!本には魅力がいっぱい。英語の本を通して、人生を深く、豊かなものに。

ロボット近未来社会をユーモアたっぷりにえがくWiesnerさんの絵本『Robobaby』のご紹介

こんにちは!

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、このブログでも時々ご紹介する、コールデコット賞を3度も受賞している、絵本界のレジェンドでいらっしゃるDavid Wiesnerさんが、近未来(?)をユーモアたっぷりに描いた絵本をご紹介させていただきます。

 

 

本について

今回ご紹介するのは、いつもその発想力で読む人を楽しませてくれるDavid Wiesnerさんが文とイラストを手掛けた絵本、『Robobaby』です。

 

YL 0.5~0.8程度、語数は296語   Lexile: GN330Lの本です。

Robobaby

Robobaby

Amazon

 

本の内容のご紹介

この本の表紙に描かれているのは、ロボットのお母さんと、新しくこの家族に加わった"Robobaby"です

そう、この本の舞台は、ロボット近未来社会です

 

お母さん、お父さん、娘のCathode、ペットのSprocketで暮らす家に、パッケージが届きました。

早速、お母さんは設計組み立て書を読んで、Robobabyを作り始めます。

 

楽勝、楽勝と作っていったお母さんでしたが、頭を胴体に乗せた瞬間、ロボットは壊れてしまいました…。

 

そこで、ロボットの「お医者さん」の、Mannyおじさん来てもらって修理をお願いします

Mannyおじさんは、工具を使って組み立てますが、急いたお母さんは、アップデートをインストールする前にボタンを押してしまって…。

 

この後、たいへんなひと騒動が起こってしまいます…。

何が起こったのかが気になれば、是非、ご自身の目で確かめてみてくださいね!

 

書かれた英語の文字は少なく、イラストから推測しながら読まなければなりませんが、その分、Weisnerさんの自由な発想を、自由に解釈できるような本です。

 

最後に

David Wiesnerさんの絵本としては、他にも紹介した記事がありますので、ご関心がありましたら、ぜひどうぞ!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

メーン州でのある夏のお話を、絵本界のレジェンドがとても美しく描き上げたコールデコット賞作品『Time of Wonder』のご紹介

こんにちは!

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、2000年にLibrary of Congree(アメリカ議会図書館)から、"Living Legend"(生きる伝説)として宣言された、偉大な絵本作家、Robert McCloskeyさん(1914-2003)が、ある夏の家族のお話をとても美しく描き上げた絵本をご紹介したいと思います。1958年にコールデコット賞に輝いた作品です。

 

 

本について

今回ご紹介するのは、今回ご紹介する絵本を含め、2度のコールデコット賞、2度のコールデコットオナー賞を受賞された、絵本界のレジェンドでいらっしゃるRobert McCloskeyさんが文とイラストを手掛けた絵本、『Time of Wonder』です。1958年にコールデコット賞(その年の絵本の最優秀賞)を受賞した絵本です。表紙に金メダルが輝いていますよね。

 

YL 4.0~5.0程度、語数は2,102語   Lexile: 940Lの本です。

Time of Wonder

Time of Wonder

Amazon

 

本の内容のご紹介

アメリカの北東部、メーン州の子ペノブスコット湾に浮かぶ小島でひと夏を過ごす家族を描いた本です。

両親と2人の娘からなる4人家族ですが、娘たちに焦点を当てたお話になっています。

 

小島の自然の美しさを存分に表現した淡い色合いのイラストと、静かに心に響く美しい詩的な文が、この本を単なる絵本ではなくて、芸術作品に仕上げています。

 

雲ができ、雨を降らせる。

雨がやみ、霧が出る。

気持ちよい青空に、美しい星空。

そして、迫りくる嵐…。

自然が織りなす天候、移ろいゆく時間が、実に美しく表現され、それに応じた生物や子どもたちの行動からは、著者の自然に対する敬意も感じられます。

 

詩的に書かれた英語は、私たち日本人は慣れていなくて難しく感じると思いますが、それでも、是非、味わっていただきたい、芸術的な素晴らしい絵本です。

Time of Wonder(すばらしいとき)を描いた、Book of Wonder(すばらしい本)です。

著者の力量に感服です。

気になれば、是非、チェックしてみてくださいね!

 

最後に

この作品は、日本でも『すばらしいとき』の邦題で和訳も刊行されていますので、合わせてご紹介させていただきます。

 

また、このブログでは、コールデコット賞とは何かに関する記事の他、過去の記事でいくつかコールデコット賞や、コールデコットオナー賞受賞作品を紹介させていただいております。もしご関心があれば、以下の記事から、過去のコールデコット賞作品に関する記事をすべてチェックできますので、ぜひどうぞ

erelc.hatenablog.com

 

Robert McClokeyさんの絵本としては、このブログでOne Morning in Maine』と、Blueberries for Salをご紹介したことがありますので、ご関心があれば、合わせてチェックしてみてくださいね!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

信州大学での多読指導を報告した論文、Brierley & Ruzicka (2006)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、信州大学で今から15年ほど前に行われた多読指導を報告した論文、Brierley & Ruzicka (2006)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。

Brierley, M., & Ruzicka, D. (2006). Extensive reading in Shunshu University: Rationale, management and motivation. 『信州大学高等教育システムセンター紀要』2, 3-26.  

 

論文の内容のご紹介

この論文は、今から15年ほど前に信州大学で2人の英語教員によって始められた多読指導の内容と成果を報告したものです。

 

この研究の参加者は、2005年度に、信州大学に在学していた、合計で13の「総合英語」のクラスを履修していた学生さん(前期450人、後期770人)です。

 

この13クラスに対して、2人の教員が多読の授業を採り入れることにしました。

ただ、2人の教員間で、指導内容は以下のように異なります。

  • In Teacher A's classes, students were given a comprehensive introduction to the theory behind extensive reading during the first few classes. Around thirty minutes at the beginning of each lesson was devoted to extensive reading. When students had finished reading a book, they were asked to fill in a report form (see Appendix 1) which was designed to keep a record of the students' reading, data from which can be seen below, and give students the opportunity to write some response to the books. At the end of the course, approximately twenty percent of students' grades was based on the number of books they had read.  (p. 8)

つまり、A先生の授業では、多読の理論的な意義などを説明し、授業内で30分ほど多読の時間をとり、読むごとにレポートを書くように言われ、成績の約20%が読んだ本の数によって評定される指導を行いました。

 

一方のB先生については、以下のように説明されています。

  • In Teacher B's classes, students were given very little guidance beyond encouragement to read and discouragement to use dictionaries or write in the books. Around fifteen or twenty minutes of each lesson, usually at the beginning, but sometimes during other activities, was devoted to reading and choosing new books. When students had finished a book, they did not have to fill in a report form. The amount read was not taken into account in calculating the students' grades.  (p. 9)

つまり、多読に関する説明や、多読の仕方について指導はほとんど行われず、授業の15~20分が多読に当てられ、読んだ後にレポートを提出する必要もなく、多読状況は成績にも入れられなかった、ということです。

 

この指導の影響をアンケートを使って計測し、その結果が示されていますが、その中で重要だと思ったものは、

  • The evidence suggests that the more students read, the more positive their attitude towards reading English became.  (p. 12)

つまり、どちらの担当教員であっても、多くの本を読むほど、英語読書に対して好意的な姿勢を示した、ということです。

こちらは、言われてみれば当たり前のようにも思いますが。

 

また、以下の結果も報告されています。

  • Teacher A's students appear to have been more successful at avoiding boring books than Teacher B's stuclents. There is stronger correlatlon with the teacher than the number of books read, so presuinably students chose better when they had more time to choose.  (pp. 13-14)

つまり、A先生の学生さんの方が、B先生の学生さんよりも、ツマラナイ本を選ぶのを避けることができた、ということです。やはり、丁寧な指導の差が出たのでしょうか

 

このことから、最後の以下のように書いています。

  • The results suggest that the attitude of the teacher and time devoted to choosing and reading books in class are crucially important. (p. 18)

つまり、先生の姿勢や、授業で多読に割く時間が極めて重要である、と述べています。

 

教育「プログラム」などとよく言いますが、やはり最終的には先生の力量で結果に大きな差が生じることを示唆した論文と言えます。

 

最後に

信州大学の多読の取り組みが、その後に、どのように変遷しているのか興味深いですね!

 

なお、このブログでは、多読に関連する研究論文の内容をご紹介したまとめ記事がありますので、よろしければ、参照用としてどうぞ。

erelc.hatenablog.com

 

ちなみに、京都産業大学での取り組みや、京都産業大学の先生方の論文は、以下の記事で紹介したことがあります。よろしければ、合わせてチェックしてみてくださいね!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

ロシアの民話をShulevitzさんのイラストとともに楽しめる古典的コールデコット賞作品『The Fool of the World and the Flying Ship: A Russian Tale』のご紹介

こんにちは!

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、ロシアの民話をUri Shulevitzさんのイラストとともに楽しめる絵本をご紹介したいと思います。今から50年以上も前の1969年にコールデコット賞を受賞した名作です。

 

 

本について

今回ご紹介するのは、Arthur Ransomさんがロシア民話をリトールド(簡略化)して、日本でもファンの多いUri Shulevitzさんがイラストを手掛けた絵本、『The Fool of the World and the Flying Ship: A Russian Tale』です。1969年にコールデコット賞(その年の絵本の最優秀賞)を受賞した絵本です。表紙に金メダルが輝いていますね。

 

YL 3.0~3.5程度、語数は3,696語   Lexile: 360Lの本です。

 

本の内容のご紹介

あるところに、百姓として生活を営む夫婦がいました。

この夫婦には3人の息子がいました。この3人のうち2人の息子はとっても賢くて、人から騙されたりすることはありませんでした。

 

問題は1人の息子。"The Fool of the World"(世界一のばか)と呼ばれるこの息子は、そこら辺の子どもよりも世間知らず。

一応、食事にはありつけているものの、お父さんもお母さんも2人の息子には思い入れがありますが、この"Fool"(ばか息子)のことは忘れてしまうこともしばしば…。

 

そんなある日のこと。この国の皇帝が、王女である娘を、空を飛ぶ船を持ってきた者と結婚させるという通知を出しました。

2人の賢い息子たちは、これはチャンスと、空飛ぶ船を造るために出かけることにしました。お母さんは美味しいものをたくさん持たせてあげて、2人が見えなくなるまで見送ります。

 

その後、ばか息子も王女との結婚のために出かけることに。お母さんは残り物の食事を詰めて、玄関先で見送ります。

 

出発してしばらくした時です。ある不思議な老人と出会います。

成り行き上、一緒に食事をとることになったばか息子でしたが、荷物からは不思議と、新鮮でおいしい食べ物と飲み物が出てきました…。

 

さらに、この不思議な老人から空飛ぶ船との出会い方について教えてもらい、その指示通りに動くと、空飛ぶ船がばか息子の前に現れたのです…。

 

そして、「出会った人を、一緒に空飛ぶ船に乗せるように」という不思議な老人の指示通りに乗せていきます。

何とも個性的で、不思議で、また陽気な人ばかりが乗った空飛ぶ船は、この後、皇帝の住むお城に到着しますが…。

 

この後の展開は、ぜひご自身でお楽しみくださいね!

ロシアに伝わる、楽しく笑える明るい民話に、数々の賞を受章しているUri Shulevitzさんの、優しくて味わいあるイラストがマッチしています。

 

気になれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

 

最後に

この本には、『空とぶ船と世界一のばか: ロシアのむかしばなし』の邦題で和訳版も刊行されています。合わせてご紹介させていただきます。

 

また、このブログでは、コールデコット賞とは何かに関する記事の他、過去の記事でいくつかコールデコット賞や、コールデコットオナー賞受賞作品を紹介させていただいております。もしご関心があれば、以下の記事から、過去のコールデコット賞作品に関する記事をすべてチェックできますので、ぜひどうぞ

erelc.hatenablog.com

 

Uri Shulevitzさんのイラスト作品としては、以前にご紹介した以下の記事もあります。よろしければ、合わせてどうぞ!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

なお、ロシアのお話の絵本ということでは、以前ご紹介したBaboushka and the Three Kingsもあります。

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

プライバシーポリシー お問い合わせ