タドキストによる英語多読ブログ

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多読を授業外での課題として課すことで、それ以前の学年と比べて英語力の向上があったことを報告した論文、Robb & Kano (2013)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、多読を授業外での課題として課すことで、それ以前の学年と比べて英語力の向上があったことを報告した論文、Robb & Kano (2013)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。150編以上の論文などで引用されている、有名な論文の一つです。

Robb, T., & Kano, M. (2013). Effective extensive reading outside the classroom: A large-scale experiment. Reading in a Foreign Language. 25(2), 234-247.   

https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1015761.pdf

 

論文の内容のご紹介

この研究は、京都産業大学に通う大学1年生を対象にした、大規模な研究です。

 

京都産業大学では、2009年度から全学的に学部1年生を対象に授業外での多読を導入したとのことです。

そこで、多読を導入する以前の2008年度の学生と、2009年度の学生の英語試験を比較して、授業外多読の効果を検証したのが、この研究の骨子となります。

 

研究参加者は、以下のように、かなり大規模な研究です。

  • 2008年度(多読無)の学部1年生(英語専攻除く) 2,797名
  • 2009年度(授業外多読有)の学部1年生(英語専攻除く) 2,586名

 

2009年度の学生に対しては、以下のように多読指導を行いました。

  • 学期(15週間)で5冊のGraded Readersを授業外で読む課題を英語の授業で与えました。
  • 授業外多読は、成績の5%分。5冊読めば授業担当者の成績がそのままとなる。1冊も読まないと5点引かれる。10冊読めボーナスとして5点加えられました。
  • 読んだ本にについては、MReaderを使って、内容把握問題を解かせました。

 

この指導の効果を、京都産業大学で独自に開発したプレースメントテスト(リーディング&リスニング)を1年の最初と最後に使って、2008年度学生と2009年度学生の間で差を比較しました。

 

授業外多読の取り組み状況としては、以下のように書かれています。

  • The results achieved in 2009 were attained with only about 70% of the students having taken quizzes on one or more books.  (p. 245)

つまり、1冊でもGraded Readersを読み、MReaderについている内容把握問題に回答した学生割合は70%程度とのことです。

 

そして、この結果としては、2009年度学生の方が学期最後のテスト(ポストテスト)でかなり上がったことが示され、以下のようにまとめられています。

  • It is clear from the data that the 2009 cohort which was required to read extensively did indeed improve compared to the 2008 cohort, and that this improvement can be solely attributed to their extensive reading. This does not, however, demonstrate that it was the extensive reading approach per se that caused the improvement. An alternate explanation might be that the improvement can be attributed to the additional contact hours that the students spent with English.   (p. 244)

つまり、この効果は多読自体に原因があるのではなく、英語に接する時間を授業外で余分にとる仕掛けを作ったから、と考察しています

 

大学生は、学部によって忙しさというのは、相当違うと思います。

その中でも、授業外で英語を読む経験を持たせることが、英語力向上につながるという結果を大規模に示した、意義のある論文だと感じました。

 

最後に

この論文でご紹介した京都産業大学での多読の取り組みに関する論文として、以前、Robb先生の論文を紹介した記事もあります。ご関心があれば、合わせてチェックしてみてくださいね!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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