こんにちは♪
今回は、多読研究の世界的な権威の一人でいらっしゃる、岡山のノートルダム清心女子大学で、多読図書の中で高い人気を誇るFoundations Reading Library (FRL)シリーズや、Cengage Page Turners (CPT)シリーズを手掛けるRob Waring先生が、2006年に書いた論考をご紹介させていただきます。
論文のデータ
今回ご紹介させていただく論考は、以下のものです。4ページの短い論考ですが、多読がなぜ英語を習得するために"must"なのかを熱く語ったもので、一読の価値があるものです。
Waring, R. (2006). Why extensive reading should be an indispensable part of all language programmes. The Language Teacher, 30(7), 44-47.
http://www.robwaring.org/papers/various/Waring_LT_2006_7_Indispensible.pdf
論文の内容のご紹介
この論文では、英語学習の目的や方法について以下の2つに分けています。
- learning to use language
- studying about language (p. 44)
1番は多読などに代表される学び方であり、2番は教科書を使った勉強のことです。
Waring先生は、どちらの学習も重要であることを指摘した上で、例えば、語彙を習得するにしても、かなりの回数を重ねる必要があることを、以下のように指摘しています。
We know, for example, that it takes between 10-30 meetings of a word receptively for the form (spelling or sound) of that word to be connected to its meaning. A far greater number of meetings will be needed to deepen the knowledge of the word (e.g., to learn a word’s collocations and colligations, whether it is typically spoken or written, informal or formal, and so on). (p. 46)
つまり、語の形式(スペルや音声など)の習得には10~30回程度の学習が必要であり、語の使い方を習得するにはもっと多くの回数の学習が必要とのことです。
要するに、多様な使い方をする語彙を習得するには、多様な文脈の中で習得する必要があり、それを実現してくれるのが多読だということです。教科書だけでは不十分ということですね。
そして、多読の最大の利点として、以下のように指摘しています。
Probably the most important benefit of being exposed to massive amounts of text is the opportunity it gives the learner to consolidate the language that was learnt discretely in the studying about phases. (p. 46)
つまり、これまで教科書などで学んできた知識を、強固なものにしてくれるということです。確かに、教科書で勉強した単語や文法が英語の本の中で実際に出てきたら知識が強化されていくことは、多読をしたことがある方ならばご経験されたことではないでしょうか。
このように、繰り返し語彙や文法にふれる機会を提供する方法は多読多聴が優れているため、英語習得のためのオプションとして多読を取り入れるのではなく、カリキュラムの中に取り入れるべき必須のものであることを、以下のように述べてまとめています。
I have argued that it is a fundamental mistake to consider sustained silent reading as supplemental or optional. Extensive reading (or listening) is the only way in which learners can get access to language at their own comfort level,... (p. 46)
最後に
このような論考が多くの人に届き、多読が学校でももっと取り入れられて、生徒さんたちの英語力向上につながるといいな~と思います。
ちなみに、Waring先生が手掛けられたFoundations Reading Library (FRL)シリーズや、Cengage Page Turners (CPT)シリーズについては、以下の記事があります。
また、Waring先生が書かれた論文としては、Waring & Nation (2004)と、Waring & McLean (2015)に関してまとめた記事があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬