こんにちは♪
明日から5月も3週目に入りますね。明日からまた仕事再開という方も多くいらっしゃるかと思います。毎日の生活の中で何か楽しいことや、嬉しいことや、自分の成長につながることを探して、過ごしていきたいですね♪
今回は、また硬めの内容で、 2015年に発表されたWaring &McLean(2015)の論文をご紹介したいと思います♪
はじめに
多読は、英語ではextensive readingといいますが、実際に行われている多読(extnsive reading)の方法は千差万別ですよね。たとえば、「〇〇万語以上読まないと多読ではない」と言ったり、あるいは「辞書を引いて読んだら多読ではない」と言ったりとか…。
実際のところ、多読(extensive reading)の定義は難しく、研究論文でも様々な実践が「多読」として扱われているのですが、Waring & McLean (2015)の論文では、これまでの多読研究を概観し、extensive readingの「核(core)」となる要素を提案したものです。つまり、「extensive readingとはこういった要素を含んでいなければならない」ということを導いた論文で、すでに70編以上の論文に引用されています。
論文データは以下の通りです。
Waring, R., & McLean, S. (2015). Exploration of the core and variable dimensions of extensive reading research and pedagogy. Reading in a Foreign Language, 27(1), 160-167.
https://eric.ed.gov/?id=EJ1059751
論文内容のご紹介
この論文は、"what is it that forms the core of ER [Extensive Reading]?"(p. 160)を研究課題にしたものです。
そして、"extensive reading"を扱った多くの先行研究を概観、考察して、以下の4つを多読の核となる要素(core elements)と結論づけています。つまり、「これらの要素がなければ多読(extensive reading)とは言えない」という要素です。
- Fluent, sustained comprehension of text as meaning-focused input
- Large volume of material
- Reading over extended periods of time
- Texts are longer, requiring comprehension at the discourse level (p. 165)
これら4条件が最重要の要素であって、多読を教室か教室外で行うか、多読を課題として取り組ませるか自主的に取り組ませるか、多読状況を評価するか、多読後に何か活動や確認などを行うかどうかなどは、多読と呼ぶための必須条件にはならないということも述べられています。
また、この4つの条件の中でも、特に読む分量よりも、英語の読み方が"extensive reading"と呼べるために重要であることが以下のように述べられています。
Clearly, the more text that the learner reads, the better. However, as a component of ER, the volume of text read exists in a different dimension to how a text is being read. This is so because it is possible, for example, to intensively read ten graded readers a week. Thus, we should separate fast, fluent comprehension volume. (p. 162)
あと、「では流暢に読むとはどの程度のスピード?」「理解を伴うというのは、どの程度の理解を伴っていること?」と疑問に持たれる方もいらっしゃると思いますが、その点については、以下のように述べています。
... what are the minimum speed, volume and comprehension rates for it to be called ER? We suspect the answer lies within the learner, not with the teacher nor the material. Comprehension is a property of learners, not of materials. (p. 163)
つまり、個人個人によって異なるということですね。
最後に
このようにしてみると、「多読」という訳語は、"extensive reading"のイメージとは結構異なるようにも感じますね。多読といえば、読む量が前面に押し出されますが、extensiveに読むということの根幹は、意味を理解しながら、流暢に読むということなのですね。それを確保したうえで、多くの英語を読むということなのですね。
ちなみに、今回の論文を書かれた、Waring先生も、McLean先生もともに、日本の大学で務める研究者でいらっしゃいます。それに、以下の記事でご紹介したRobb先生もSusser先生も日本の大学で務められる先生でした。
日本の多読研究のレベルの高さを感じさせてくれますね♪ 今後にも期待です!
Waring先生や、McLean先生の他の論文も紹介したものがあります。もしご関心があれば、合わせてチェックしてみてくださいね。
また、英語多読の読み方について最も世界で参照されているDay & Bamford (2002)をご紹介した記事もあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬