タドキストによる英語多読ブログ

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「英語学習者が最低限覚えるべき語彙は?」に答えるNation & Hwang (1995)の論文のご紹介♪

こんにちは♪

 

以前このブログでは、語彙研究の世界的な権威でいらっしゃるPaul Nation博士の論文をいくつか紹介させていただきました。

erelc.hatenablog.com

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今回は、またPaul Nation博士の数多くある論文の一つで、「最低限覚えるべき語彙は?」「学術語や専門語は何語習得した後に学習すべき?」に答えるNation & Hwang (1995)をご紹介したいと思います。

 

 

 

論文のデータ

今回の論文のデータは以下の通りです。これまで270編以上の論文などに引用されている有名な論文の一つになります。

Nation, P., & Hwang, K. (1995). Where would General Service Vocabulary stop and special purposes vocabulary being? System, 23(1), 35-41.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0346251X9400050G

 

論文の内容のご紹介

英語には数多くの語彙がありますよね。その中で、頻繁に使われる語(例えば、theやofやinやonやbe動詞など)もあれば、それほど頻繁に使われない語もありますよね。

古典的な研究で、特に高頻度で使われる2,000語ほどの語彙を集めたのが、Michael West先生によるGeneral Service List(GSL)というものです。

 

このGSLは、いくつかの批判も寄せられていますが、英語の学習者全員にとって、必要不可欠な語彙であることが、以下のようにこの論文でも述べられています。

つまり、GSLは、英語学習をする上で、身につけなければならない語彙リストという位置づけと考えられています。

Whatever the criticisms of the General Service List, a general service vocabulary is essential for all learners no matter whether they are using English as a foreign or second language, for spoken or written use, or for general or special purposes.  (p. 36)

 

ただ、このGSLを抑えれば、それでOKかというと、そうではありません。

その理由として、語彙には以下の4つの区分があると述べられています。

  1. high frequency  (高頻度語)
  2. academic  (学術語)
  3. technical  (専門語)
  4. low frequency  (低頻度語)  (p. 37)

GSLは、この中で1番の高頻度語にあたります。

この高頻度語であるGSLの2,000語程度を最初に学ぶとしても、「その後、頻度順にさらに何語まで覚えればいい?」とか、「高頻度語を学んだ後には、どの語を学ぶべき?」といった疑問が浮かびます。

 

結論からいけば、この問いに対して、Nation & Hwang (1995)では、以下のように提言しています。

This study, then, shows that a general service vocabulary of close to 2000 words is appropriate for learners who are going to move on to special purposes study. After the 2000-word level, greater text coverage is gained by moving to the study of specialized vocabulary than is gained by continuing to learn the next words on a frequency list.  (p. 40)

つまり、まずは2,000語程度の高頻度に使われる基本語彙を覚えて、その後で学術語や専門語の学習に移ることが主張されています。  

 

本研究では、この結論を導くために、以下の3つの言語資料を使用して分析しました。

  1. GSL
  2. LOBコーパス(約100万語のイギリス英語コーパス
  3. Brownコーパス(約100万語のアメリカ英語コーパス

そして、これら3つの言語資料にある1,331語、ついで3つの言語資料のうち、2つの言語資料に共通して入っている614語、合計で1,945語を、最初に学ぶでき必要不可欠な語彙と位置づけました。そして、この1,945語で英文の平均83.4%をカバーできると導き出しています。

 

そして、この論文では、大学などで学ぶ人であれば、この1,945語の次に学習するのは、次の高頻度語ではなく、学術英語(具体的には、Xu & Nation (1984)で作成されたUniversity Word Listの833語)であると主張しています。この2,778語(1,945語+614語)で、大学などで読むテキストであれば、英文の平均91.9%をカバーできるとまとめています。

 

この論文は、英語学習者にとって、高頻度に使われる最初の2,000語の習得が特に重要であることを述べたものといえます。これらの語彙は、新聞でも、ニュースでも、小説でも、学術雑誌でも、映画でも、どの分野であっても頻繁に使われる、英語の基盤となる語彙だからです。学術語や専門語は、その2,000語の後で学ぶべき語彙ということなのですね。

 

まず習得すべき語彙数について提言した論文、Nation & Hwang (1995)を今回ご紹介させていただきました。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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