タドキストによる英語多読ブログ

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英語ネイティブの子ども用の読み物を読みやすくする語彙リストを提案した研究論文Macalister & Webb (2019)のご紹介

こんにちは。

 

以前、このブログでは、「英語ネイティブ用の本は、子ども用であってもなぜ難しい?」に関して論考したWebb & Macalister (2019)の論文をご紹介しました。

erelc.hatenablog.com

 

今回ご紹介するのは、Webb & Macalister (2019)と同じ著者による研究で、英語ネイティブの子ども用の読み物を読みやすくする語彙リストを提案した論文のMacalister & Webb (2019)です。

 

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。多読研究において、多くの論文を発表してこられているMacalister先生と、Webb先生による共著の論文です。

Macalister, J., & Webb, S. (2019). Can L1 children’s literature be used in the English language classroom? High frequency words in writing for children. Reading in a Foreign Language, 31(1), 62-80.

https://scholarspace.manoa.hawaii.edu/bitstream/10125/66750/1/31_1_10125_66750_macalister.pdf

 

論文の内容のご紹介

この論文は、以下の3点を研究課題に設定して探究したものです。

  1. What high frequency vocabulary beyond the 2,000 most frequent words of English can be identified from a corpus of children’s literature?
  2. If such high frequency vocabulary was known, what impact would it have on a second language learner’s lexical coverage of authentic children’s literature?
  3. To what extent is such high frequency vocabulary representative of specialist language in children’s literature?   (p. 66)

つまり、英語ネイティブの子ども用の読み物において、高頻度で使われる2,000語レベルを超えた語彙で、どのような語彙がよく使われているのか、そしてそれを覚えることで、英語ネイティブの子ども用の読み物を読む際に、どのような影響があると考えられるのかを中心に解明しようとした論文となります。

 

この研究では、英語ネイティブの子ども用の読み物のコーパスを作成しました。

コーパスの材料となった英文は、ニュージーランドの小学生用のSchool Journalという読み物です。このSchool Journalから、フィクションの読み物を過去4年間の中から選びました。そして、174の記事から合計で128,540語のコーパスを作成しました。

 

このコーパスを、RANGEというソフトを使って分析して、語彙レベルを測定しました。

 

その結果、ニュージーランドの小学生用のSchool Journalからの英文は、4,000語レベルの語彙を知っていることで英文全体の95%の語彙がわかり、8,000語レベルの語彙を知っていることで英文全体の98%の語彙がわかるようになるレベルであることがわかりました。

 

この結果を受けて、筆者たちは、英語ネイティブの子ども用の読み物の中で2,000語レベルを超えるレベルの中で頻繁に登場する245語から成る"Children High Frequency" (CH HF)リストを作成しました。

 

この結果を、以下のようにまとめています。

  • With knowledge of the CH HF, however, a learner with a 2,000-word vocabulary is close to the 95%, and comfortably meets it if the learner is at the 3,000-level.   (p. 72)
  • Thus, for language learners wanting to read beyond the upper level of graded readers, the CH HF wordlist offers a clear pathway to successful reading of children’s literature.   (p. 71)

つまり、CH HFのリストを覚えることで、3,000語程度の語彙を知っていれば、比較的快適に英語ネイティブの子ども用の読み物が読めることを指摘しています(CH HFがなければ、4,000語程度の語彙を知っていなければならないので、だいぶ「効率化」ができるようになります)。

そして、Graded Readersの上のレベルから、さらに先に進みたい学習者にCH HFリストはとても有用であるということです。

 

このCH HFリストに出ている275語は、以下のURLから論文のpp. 79-80を参照すればわかりますので、ご関心があればチェックしてみてくださいね。Leveled Readersや児童書や絵本が好きな方は、この275語を覚えれば英語が読みやすくなるかもしれませんね!

https://scholarspace.manoa.hawaii.edu/bitstream/10125/66750/1/31_1_10125_66750_macalister.pdf

 

最後に

今回は、英語ネイティブの子ども用の読み物を読みやすくする語彙リストを提案した研究論文Macalister & Webb (2019)のご紹介でした。

ちなみに、この論文の執筆者のおひとり、Webb先生の論文として、Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)や、Webb (2008)を紹介した記事もあります。Macalister先生の論文として、Macalister (2008)を紹介した記事もあります。

erelc.hatenablog.com

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最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading!!

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