タドキストによる英語多読ブログ

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日本人高校生と大学生を対象に、読むことが語彙習得につながる可能性を示した論文、Day, Omura, & Hiramatsu (1991)のご紹介

こんにちは♪

お立ち寄りいただきありがとうございます。

 

 

今回は、多読研究の世界的な第一人者でいらっしゃるRichard Day教授が執筆者に名を連ね、読むことによって語彙が習得されるかを研究した論文、Day, Omura, & Hiramatsu (1991)の概要をご紹介させていただきます。

 

 

 

論文のデータ

今回ご紹介させていただくのは、以下のもので、すでに500以上の論文などで引用されている、とても重要な論文の一つです。

Day, R.R., Omura, C., & Hiramatsu, M. (1991). Incidental EFL vocabulary learning and reading. Reading in a Foreign Language, 7(2), 541-551.

https://eric.ed.gov/?id=EJ454520

 

論文の内容のご紹介

この研究の参加者は、以下の2グループです。

  1. 日本人高校生191名(英語に力を入れている私立高校)
  2. 日本人大学生397名(3つの大学、いずれも大学1~2年生)

この参加者を、ランダムに2群(実験群と統制群)に分けました

 

その上で、実験群となった参加者を対象に、"Mystery of the African Mask"というお話を、参加者のレベルに合わせて編集した英文(1,502語から1,032語へ英文量も削減にして、30分以内で読める分量にした)を読ませました。読む際には、辞書の使用は禁止しました。

 

また、この英文では、17のターゲットとなる単語(例:medicine, fake, shame, faint, clear, terribleなど)を入れておき、それらが複数回繰り返されるように編集しました。

 

実験群の参加者がこの英文を読んだ後、全参加者に対して単語テストを実施し、その結果を、実験群と統制群で比較しました

単語テストでは、17のターゲットにした単語の意味を、「1つの正答+3つの誤答+"I don't know"」の合わせて5つの選択肢から選ばせる形式のものを使いました。

 

この単語テストの結果としては、以下のように報告されています。

  • 高校生統制群  平均4.1        標準偏差2.48
  • 高校生実験群       平均5.2        標準偏差3.21 有意差有
  • 大学生統制群  平均6.28      標準偏差2.97
  • 大学生実験群       平均9.34      標準偏差3.41    有意差有

 

この結果を受けて、以下のようにまとめています。

  • In both groups of subjects, those in the treatment groups - those who read the story - knew significantly more vocabulary than those subjects who had not read the story.  The results of this investigation demonstrate that exposure to previously unknown or difficult words through sustained silent reading for entertainment by Japanese EFL students has a positive effect on their ability to recognize these words in a vocabulary test.   (p. 545)
  • The investigation reported here provides empirical evidence for the claim that foreign language students can learn target vocabulary through reading.  (p. 546) 

つまり、国語学習であっても、読むことによって、それまでは知らなかった語彙を習得できるということです。

私たちのような日本人で英語を学んでいる人たちにとって、読むことの重要性を伝えてくれる論文ですね。

 

最後に

今回ご紹介した研究は、以前ご紹介したPitts, White, & Krashen (1989)と、Cho & Krashen (1994)の研究と同様に、多読が語彙の習得に効果的であることを示唆したものです。

 

ただ、この研究では、

  • プレテストがなく、実験群と統制群の参加者の間に元々、どの程度の語彙習得状況の差があったかわからないこと
  • 読む前から17のターゲットの単語(のいくつか)を知っていた可能性があること

が気になりましたが、初期の重要な研究として、今後も引用され続けるものと思います。

 

このブログでは、Pitts, White, & Krashen (1989)や、Cho & Krashen (1994)だけでなく、多読と語彙習得に関する研究を紹介させていただいた記事もありますので、合わせてご紹介させていただきます!

erelc.hatenablog.com

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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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