こんにちは♪
多読を楽しまれている方のほとんどは、Oxford Reading Tree (ORT)をご存知ですよね。ORTは、元々、イギリスの小学校の英語(彼らにとっては、国語)の授業で使われていたシリーズであることは、多くの方がご存知ではないでしょうか?
多読では、ORTのように、英語ネイティブ用に書かれたレベル別の読み物をLeveled Readersといって、日本人や韓国人などのような英語学習者用の読み物のGraded Readersとは区別されます。
でも、ORTなどを読んでいて、「Leveled Readersや児童書など、子ども用の読み物といっても、英語ネイティブ向けの本は難しい!」と感じた方は多いのではないでしょうか。
なぜ、私たちのような英語学習者にとって難しく感じるのかについて、Webb & Macalister (2019)の論文で述べられていた3つの理由をご紹介したいと思います。
論文のデータ
今回ご紹介する論文は、以下のものです。多読研究で世界的な権威のお二人、Webb先生とMacalister先生による論文です。
Webb, S., & Macalister, J. (2019). Why might children’s literature be difficult for non-native speakers of English? Reading in a Foreign Language, 31(2), 305-310.
https://scholarspace.manoa.hawaii.edu/bitstream/10125/66938/1/31_2_10125_66938_webb.pdf
論文の内容のご紹介
この論文の中では、以下の問いが投げかけられています。
So why would second language (L2) learners of English find it challenging to understand children’s stories? (p. 305)
つまり、なぜ英語学習者(L2 learners of English)にとって、英語ネイティブの子ども用のお話を読むことが難しいのか、という問いです。
この問いに対して、この論文の中では以下のように、3つの理由を述べています。
- First, children tend to have much greater vocabulary knowledge than English as a foreign language (EFL) learners.
- Second, because children are at an early stage of L1 learning, they tend to be relatively accepting of imprecise comprehension of written (and spoken) input.
- A third reason why text written for children may be challenging for L2 learners is that they may be less willing than children to read a text multiple times. (pp. 305-306)
つまり、第1の理由として、英語ネイティブの子どもは、学習者よりもはるかに多くの語彙を知っているからということです。この論文では、英語ネイティブの5,6歳はすでに3,000~4,000の語彙を知っていて、そこから毎年1,000語ずつぐらい語彙を増やしていくことが紹介されています。驚異的ですよね。
第2の理由として、子どもは、不正確な理解であっても、気にせずに受け入れていく傾向があるとのことです。
そして第3の理由として、子どもは繰り返し同じ英語を読んだり聞いたりすることを厭わない傾向があるとのことです。
最後に
確かに、英語ネイティブの5, 6歳に英語力で勝てる日本人は少ないように思います。語彙力もかなり違うのですね。第2、第3の理由についても、お子さまをお持ちの方なら、納得ではないでしょうか。子どもの素直さや柔軟性や、気に入ったことをとことん繰り返す力は、本当にすごいですよね~。
今回は、「英語ネイティブ用の本は、子ども用であってもなぜ難しい?」に関してWebb & Macalister (2019)の論文で述べられていた3つの理由のご紹介でした。
ちなみに、執筆者のおひとり、Webb先生の論文として、Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)やWebb (2008)を紹介した記事もあります紹介した記事もあります。Macalister先生の論文として、Macalister (2008)を紹介した記事もあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬