こんにちは。
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
今回は、ハワイ大学の日本語の授業で取り入れられた日本語の多読による影響を報告した論文のHitosugi & Day (2004)をご紹介させていただきます。
論文のデータ
今回ご紹介するのは、以下の論文です。すでに150編以上の論文などで引用されている、重要な論文の一つです。
Hitosugi, C. I., & Day, R. R. (2004). Extensive reading in Japanese. Reading in a Foreign Language, 16(1), 20-39.
http://www2.hawaii.edu/~readfl/rfl/April2004/hitosugi/hitosugi.html
論文の内容のご紹介
この論文は、ハワイ大学の日本語の授業で取り入れた、日本語多読による影響を報告したものです。
この研究の参加者と、研究期間は、以下の通りです。
- 参加者：ハワイ大学の「Jpn 102」という授業（日本語学習の2学期目の授業）を履修した14名。
- 研究期間：この「Jpn 102」では、日本語の授業が週に５回、16週間あるのですが、そのうちの10週間を授業外で多読をするように勧めました。
読ませたのは、日本人の子ども向けに書かれた266冊の児童書です。この266冊を、語彙や文法や本の長さ（分量）や、表記法（ひらがなのみか、漢字も入っているかなど）の観点から６レベルに分けて、参加者に提供しました。
そして、自分の関心やレベルに応じて、10週間で40冊の本を読むように参加者に伝えました。多読の取り組み状況は、成績の10%分として評価されました。
取り組みの結果は、以下の通りです。
- 40冊以上を読んだ参加者は４名（14名中）で、平均読冊数は31.6冊
そして、この取り組みの影響を、多読指導の前後で読解テストや、アンケートを行うことで調査しました。対照群は、多読を取り入れていない、伝統的な日本語指導を行ったグループの学生さんです。
この取り組みの主要な結果は、以下のものとなります。
- The major difference between the two classes was found in Part C, the traditional reading comprehension activity. (p. 30)
- as the results from the affective questionnaire indicate, the ER students developed more positive attitudes toward their study of Japanese than did the students in the regular class by the end of the semester. (p. 34)
- the ER program triggered interest toward Japanese culture in some students, and it led to independent study in Japanese. Some became keenly aware of anime and plunged themselves into the Japanese cartoon world. (p. 34)
つまり、多読を取り入れたクラスは、取り入れないクラスと比較して、読解力が向上し、学習姿勢が積極的になり、日本の文化への関心を高めるきっかけにもなった、と報告しています。
最後に
ハワイの大学で日本語を学ぶ大学生を対象にした多読でも、多読による読解力や、学習姿勢への向上が見られたという報告は、多読が様々な環境でも効果を発揮しうることを感じさせてくれますね。
ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。
ちなみに、著者のおひとりのRichard Day先生は、英語多読研究の世界的第一人者のおひとりです。このブログでも、Day先生の論文をご紹介したことがありますので、合わせてご紹介させていただきます。
今回は、ハワイ大学の日本語の授業で取り入れられた日本語の多読による影響を報告した論文のHitosugi & Day (2004)のご紹介でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬
