こんにちは♪
以前、多読を通して繰り返し英語に触れることによって、語彙を身につけることができるかに関して、Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)の論文を紹介させていただいたことがありました。
はじめに
今回は「多読と語彙習得」のテーマに関連して、中国のNanning UniversityのFeng Tengさんによる以下の論文をまとめたいと思います。
Teng, F. (2015). Extensive reading plus explicit vocabulary exercises: Is it better than extensive reading-only? Malaysian Journal of ELT Research, 11(2), 82-101.
https://journals.melta.org.my/MAJER/downloads/majer11_02_06.pdf
論文の内容のご紹介
多読で語彙の習得が進むと言われていますが、多読による語彙習得の効果はどの程度かを探究した論文です。この論文では、18歳~20歳の中国人大学生52名を研究参加者にして、
- 多読のみ行った26名のグループ
- 多読に加えて、毎週20分程度の語彙のエクササイズを行った26名のグループ
に分けて、語彙習得の差などを検証しています。
研究期間は7週間で、最初の5週間における5回のセッション(1セッション4時間)で、1回1冊(15,000語程度のGraded Readers)を読むという多読を行いました。
合計で5冊、78,819語を読んだことになります。
そして、各本の中から6語(5冊合計で30語)の簡単な単語を選び、それらを学生さんが知らない高難度の語に変えました(例えば、weakをvulnerableに、quicklyをexpeditiouslyに変更しました)。
そして、これら5冊を読んで、高難度の30語がどの程度身につくかを検証するという方法を採りました。
結論として重要なものは以下になります。
As previous studies have suggested, adding explicit vocabulary learning could make the words more salient, and form a deeper level of semantic processing. (p. 96)
つまり、多読に加えて語彙の明示的な指導(エクササイズ)を行った方が、多読だけをさせるよりも、語彙習得に効果的だったことを報告しています。
ただ、この論文では、
- 語彙の明示的指導は、どのように、どの程度実施したのか
- 試験で使った30語は、それぞれテキストの中で何度出てきたのか
- 30語の語を高難易度の語彙に変えたということは、15,000語程度のGraded Readersを紙で打ち出して読ませたのか
といったことが書かれていませんし、そもそも、1つのグループは多読のみで、もう1つのグループは多読に加えて語彙のエクササイズをしたのであれば、当然の結果と感じなくもないですね。
最後に
いずれにしても、多読だけでなく、語彙をきちんと指導することが語彙力向上につながることを示した研究だと思います。
私たちの立場からすれば、「多読で辞書を使ってはダメ」というよりは、「多読で気になる語があれば、適切に(あまり頻繁では読む量が落ちてしまいますが(;^ω^))辞書を使うことが語彙力向上の有効な方法」と置き換えられる研究結果といえますね♪
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬