こんにちは!
お立ち寄りいただき、ありがとうございます。
以前、このブログでは、多読研究の金字塔ともいえる、Day & Bamford (2002)による、多読の10原則(top ten principles for extensive reading)についてご紹介しました。
今回は、その著者のお一人で、多読研究の第一人者でいらっしゃるRichard Day先生が2015年に著した、多読研究の現在と今後を語った研究、Day (2015)をご紹介させていただきます。
論文のデータ
今回ご紹介するのは、以下の論文です。こちらもすでに100編以上の論文などに引用されているものです。
Day, R.R. (2015). Extending extensive reading. Reading in a Foreign Language, 27(2), 294-301.
https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ1078441.pdf
論文の内容のご紹介
この論文では、過去に発表された、タイトルに"extensive reading"という語を含んだり、キーワードに入れている論文、そして、その論文の中で多読プログラムについて書かれている44編の論文を調査対象として、Day & Bamford (2002)で提唱した10原則のどの原則にどの程度当てはまったものかを調査しました。
その結果、以下のようであったと報告しています。
- The reading material is easy. 34編
- A variety of reading material on a wide range of topics must be available. 35編
- Learners choose what they want to read. 38編
- Learners read as much as possible. 36編
- The purpose of reading is usually related to pleasure, information and general understanding. 28編
- Reading is its own reward. 23編
- Reading speed is usually faster rather than slower. 20編
- Reading is individual and silent. 31編
- Teachers orient and guide their students. 18編
- The teacher is a role model of a reader. 8編 (p. 295)
つまり、原則3「学習者が自分で読みたい本を選ぶ」が最も多く実践されており、そして、原則4「学習者はできるだけ多く読む」、原則2「様々なトピックの図書が利用可能である」が続いたということです。
そして、この現状に対して、多読(ER)には「多読らしさ」の程度に差があることを指摘し、以下のように段階があることを提案しています。
- Pure ER(10原則全て当てはまる)
- Modified ER(原則の多くが当てはまる)
- ER Light(原則のいくつかが当てはまる)
- Fringe ER(原則全て当てはまらないが、ERと名前をつけている) (p. 296)
そして、今後の多読の方向性として、以下の3つを掲げています。
- Supervised ER(管理された多読)
- Independent ER(すべて個人で行われる自由な多読)
- Blended Extensive and Intensive Reading(精読と組み合わせた多読) (p. 297)
最後に
ご自身が掲げ、世界でこれだけ影響力のある多読の10原則に固執することなく、様々な多読のかたちを認め、現状を分析し、さらに今後開拓されるだろう多読の方向性まで指摘した論文です。
もし気になれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
また、Day & Bamford (2002)に関連した研究として、Prowse (2002)をご紹介した記事もあります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬