タドキストによる英語多読ブログ

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「読んだ本の要約は日本語で書く、英語で書く、英語で書いて添削してもらう、どれが効果的?」に迫った論文、Mason (2004)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、「読んだ本の要約は日本語で書く、英語で書く、英語で書いて添削してもらう、どれが効果的?」に迫った論文、Mason (2004)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。60編程度の論文などで引用されています。

Mason, B. (2004). The effect of adding supplementary writing to an extensive reading program. International Journal of Foreign Language Teaching, 1(1), 2-16.  

http://www.benikomason.net/content/articles/effect_of_adding_supplementary_writing_to_an_extensive_reading_program.pdf

 

論文の内容のご紹介

この研究の参加者は、日本の女子大学で英語を学ぶ104名です(TOEIC平均で270点ほどの学生さんたちです)。この参加者を、以下の3グループに分けました。

  • JSGグループ(34名):読んだ英語の本(Graded Readers)に対して、日本語で要約を書いて提出させる。
  • ESGグループ(34名):読んだ英語の本(Graded Readers)に対して、英語で要約を書いて提出させる。
  • Correctionグループ(36名):読んだ英語の本(Graded Readers)に対して、英語で要約を書いて提出。その要約をイギリス人英語教員が添削し、再提出させる。

いずれのグループの学生も、週に8回ある英語の授業のうち、1回が多読の授業として当てられ、その多読の授業での指導を、上のように3グループ間で分けたということです。

なお、Correctionグループには、3セメスターで合計25回の添削指導を行いました。

 

この指導を3セメスター続け、その間に、平均で2,300ページのGraded Readers(50万語程度)を読みました

そして、この指導の違いによる効果の差を、TOEICのリーディングセクションを使った100問のクローズテストと、英文を書かせて100語ごとにエラーがない数の観点から調査しました。

そして、週ごとに費やした英語多読への時間、英語でのサマリーライティングに費やした時間などを、アンケートで調査しました。

 

まず、多読に当てた時間としては、以下のように報告されています。

  • JSGが週に多読に当てた時間(30名):3.35時間
  • ESGが週に多読に当てた時間(21名):3.71時間
  • Correctionが週に多読に当てた時間(35名):4.44時間

結構な時間を多読に当てて頑張った学生さんたちだとわかります。

そして、英語でのサマリーライティングに費やした時間については、以下のようにまとめられています。

  • ESGが費やした時間:2.20時間(最初の2セメスター―)、1.78時間(最後のセメスター)
  • Correctionが費やした時間:1.99時間(最初の2セメスター)、2.53時間(最後のセメスター)

 

そして、TOEICのリーディングセクションを使った100問のクローズテストと、英文を書かせて100語ごとにエラーがない数の観点から調査の結果においては、3グループ間で有意差がなかったと報告しています。

 

この結果をもとに、以下のように研究をまとめています。

  • All three groups in this study improved significantly, but there were no significant differences among the groups in gains. The group that wrote summaries in Japanese, their first language, was the most efficient, making the greatest gains in terms of points gained for the time devoted to English.
  • These results do not definitely demonstrate that output and output plus correction are always ineffective. It is of course possible that there simply wasn't enough output or correction or that the means employed were not optimal... What we can conclude, however, is that output in the form of summary writing, with and without the kind of correction usually provided in language classes, did not add to the power of reading. 

つまり、多読を行った3グループとも英語習得の効果はあった、とまず報告しています。ただ、サマリーを日本語で書かせたグループと、サマリーを英語で書かせたるグループや、そのサマリーを添削をして再提出させたグループの間で有意差がなく、費やした時間には差があったことから、効率としては多読をしてサマリーを日本語で書かせるのがいい、とまとめています。

 

最後に

この論文を読んでいて、

  • 参加者の数と、アンケートやテスト参加者の数が一致していないこと(普通は、テストにもアンケートにも参加した学生さんを参加者とする)
  • サマリーライティングにかけた時間を、なぜか日本語でサマリーを書かせた学生さんには聞いていないこと(これでは、当然、英語のサマリーグループの方が時間が効率が悪いという結果になってしまう)

などが気になりましたが、みなさんはいかがでしょうか?

 

ちなみに、Mason先生の論文は、以前にも以下の記事でご紹介しています。ご関心があれば、合わせてチェックしてみてくださいね!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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