タドキストによる英語多読ブログ

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授業外での自主的な多読を導くのは指導者であることを示唆した論文、Yoshizawa, Takase, & Otsuki (2013)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、授業外での自主的な多読を導くのは指導者であることを示唆した、日本人研究者による論文のYoshizawa, Takase, & Otsuki (2013)をご紹介させていただきます。

 

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。

Yoshizawa, K., Takase, A., & Otsuki, K. (2013). The effect of a teacher’s guidance on Japanese university EFL learners’ voluntary reading outside class. Journal of Foreign Language Studies, 8, 133-150.

https://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/08/133yoshizawa.pdf

 

論文の内容のご紹介

この論文は、以下の問題意識を持ち、研究課題を掲げたものです。

  • However, there is a lack of empirical research about the effect of a teacher’s guidance on reading achievement in ER. The present study aims to investigate the effect of teachers’ guidance on the growth in L2 reading. Specifically, we investigate the following research question: To what extent does a teacher’s guidance on book selection affect L2 readers’ growth in reading ability?  (p. 135)

つまり、教師や指導者の多読指導が多読の到達に与える影響を調査した研究は少ないことを問題意識に、本の選書に関する教師の指導がどの程度、読解力の伸びに影響を与えるかを探究したものです。

 

この研究の参加者は以下の通りです。

  • 実験群:4クラスから成る日本人大学生2年生74名
  • 統制群:1クラスの日本人大学生1年生36名

指導期間は2学期間(30週間)で、指導内容は以下のように行いました。

  • 実験群毎週45分授業で多読の時間があり、Graded ReadersやLeveled Readersを読み、授業外でも多読をするように指導されました個々の学生と選書や読み方などに関するカウンセリングを行い、多読記録も定期的に回収しました
  • 統制群SRA Reading Laboratoryというリーディングキットの中で、主にPower-Builderというカードを毎週45分読みました。そして、授業外でGRやLRを読むように指導されました授業外での多読記録は定期的にチェックせず、選書に関する具体的な助言はしませんでした

この指導の差を、Edinburgh Project on Extensive Reading(EPER)テストを指導前後に行って検証しました。

まず、2学期間の多読語数は以下のようになりました。

  • 実験群:平均197,391語(中央値163,416語)
  • 統制群:平均98,496語(中央値66,809語)

そして、EPERテストの結果は以下のようになりました。

  • 実験群:41.63(プレ)⇒58.37(ポスト)
  • 統制群:40.27(プレ)⇒45.42(ポスト)

 

そして、以下のように結論づけています。

  • The results show that the experimental group had significantly larger gain scores than the control group. We conclude that the differences in the amount of reading the two groups did resulted [result?] in the differences in the two groups’ gain scores.  (p. 146)
  • Thus, the instructor continued to guide the students so that they could become independent readers.  (p. 147)

つまり、指導者の継続した多読指導が学生を自律させて、多くの語数を読むようになり、それがEPERテストの結果の差になったと述べています。

 

さらに、以下のようにも述べています。

  • In ER classes, teachers need to diagnose their students’ developmental stages in learning to read in L2 and give them appropriate advice about which books to read or unlearn what they have learned in their previous learning experiences...  
    A teacher plays diverse and significant roles in ER classes, which contribute to successful extensive reading practice.  (p. 148) 

つまり、教師は学生さんの学習状況を把握した上で適切なアドバイスをする必要があるということです。単に読ませればいいというわけでは決してないということですね。

 

最後に

考えてみると、多読を取り入れているところは多いですが、その中で成果が特に上がっているところは、先生方の熱意や理念がしっかりとしているところが多い印象があります。

多読というモノではなくて、指導者というヒトが重要というのは、どの世界にも通じることのような気がします。

 

読んでいると、実験群と統制群の間で、指導者の選書に関する助言や介入の仕方以外で、指導内容などで異なることが気になりますが、学校や大学における多読で、指導者の継続した指導の重要性を示唆した研究だと思います

 

ここに書かれていること以上のことを知りたい場合には、是非、論文を読んでみてくださいね。

 

今回は、授業外での自主的な多読を導くのは指導者であることを示唆した、日本人研究者による論文のYoshizawa, Takase, & Otsuki (2013)のご紹介でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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