こんにちは♪
早いもので、5月も5週目に入りましたね。今週も、笑顔で過ごしていきましょうね♪
以前、このブログで、日本人の大学生を対象にした多読実践がTOEICのスコアに与える影響について調査したStorey, Gibson, & Williamson (2006)をご紹介させていただきました。
今回は、このStorey, Gibson, & Williamson (2006)から6年後に発表されたO'Neil (2012)の論文をご紹介させていただきます。
論文のデータ
今回ご紹介する論文は、以下のものです。
O’Neill, B. (2012). Investigating the effects of Extensive Reading on TOEIC® reading section scores. Extensive Reading World Congress Proceedings, 1, 30-33.
https://erfoundation.org/proceedings/erwc1-ONeill.pdf
論文の内容のご紹介
この研究の参加者は、京都ノートルダム女子大学の英文科の学部1,2年生です。
京都ノートルダム女子大学では、2008年度から授業外課題(必修の英語リーディング授業の成績の15%分)として多読プログラムが1,2年生を対象に始まったということです。
受講クラスは英語運用能力試験によって区分けされ、以下の記述のように、それぞれのクラスに応じて読むべき本の数やレベルの本は。厳密に区分けされました。
The number of books and the difficulty levels to be read were predetermined and strictly adhered to by the department. (p. 30)
そして、学生さんの多読プログラムへの参加状況は、ブックレポートを課して、評価をしました。
このような多読プログラムの成果を、このプログラムが始まる前の1,2年生が1年終了時、2年終了時に受けたTOEIC IPテストのリーディングスコアと、多読プログラムが始まった後の1,2年生が1年終了時、2年終了時に受けたTOIEC IPテストのリーディングスコアと比較をして、成果を検証しました。
その結果をまとめると、以下のようになります。
非多読群(n=159):1年次 152.1 2年次 160.2 伸び 8.2 (5.3%)
多読群(n=213) :1年次 150.1 2年次 169.5 伸び 19.4 (12.9%)
多読群の方がより大きくスコアを伸ばしていますが、結果としては、以下のように報告されています。
A two-tailed t-test showed no significance in second year gains between the two groups. (p. 32)
つまり、有意差は見られなかったとのことです。
最後に
ただ、この研究を読んでいると、
- 学生さんが読む本の縛り(レベル)が厳しく、自由に選書する余地が少なかったこと
- 実際に学生さんが読んだ量がどの程度か、レベルはどの程度か、どのような読み方をしていたかの記述がないこと
- 結果の分析がもっと多角的にできるのではないかと感じること
など気になる点もありました(原稿の分量の制限があって、記述しきれなかったかもしれませんが)。
特に、多読プログラム前後のスコアの差には結構大きな差があるようにも見えますが、一つの観点からの分析のみで、有意差なしとして議論をしてしまっているので、例えば、群内のプレテストとポストテストの比較や、効果量を使った検証などを知りたいと感じてしまいました。皆さんは、いかがお感じでしょうか?
今回は、O'Neil (2012)の論文を紹介させていただきました。
ちなみに、多読とTOEICの関係についての研究として、Rutson-Griffiths & Rutson-Griffiths (2018)の論文もご紹介した記事があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬