タドキストによる英語多読ブログ

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日本で多読の効果を広めた豊田高専の多読成果 Nishizawa, Yoshioka, & Fukada (2010)の論文のご紹介

 こんにちは♪

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

以前このブログでは、豊田高専の多読の成果をご紹介させていただきました。

erelc.hatenablog.com

 

今回は、豊田高専の多読授業の成果をまとめた論文、Nishizawa, Yoshioka, & Fukada (2010)をご紹介させていただきます。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介させていただくのは、以下のものです。多くの研究論文などで引用されていますし、日本で多読の効果を広く伝えることになった論文です。


Nishizawa, H., Yoshioka, T., & Fukada, M. (2010). The impact of a 4-year extensive reading program. In A.M. Stoke (Ed.), JALT2009 Conference Proceedings, pp. 632-640. Tokyo: JALT

https://jalt-publications.org/archive/proceedings/2009/E035.pdf

 

論文の内容のご紹介

著者のNishizawa先生たちは、高専の学生さんの英語力(特に、TOEICスコア)を改善したいという強い思いをお持ちだったと書かれています。そこで多読と出会い、2004年度から多読を2年生から7年生まで一斉に導入したと書かれています。週に1回、45分の多読授業を、年に30回行う指導を始めました。

 

この研究は、2004年度に2年生だった学生さんが、2007年度に5年生になり、4年間多読を継続した結果、TOEICスコアにどのような変化が見られたのかがまとめられたものです。この研究の対象者は、37名の学生さんで、そのうち、3カ月以上の海外留学(滞在)経験のある7名を除いた30名です。

 

この30名の学生さんを、多読量によって3つのグループに分けて分析した結果は、以下のようなものでした。

  • 中央値310,000語を読んだ学生(9名):TOEIC平均 435点
  • 中央値660,000語を読んだ学生(13名):TOIEC平均 498点
  • 中央値1,800,000語を読んだ学生(8名):TOEIC平均 604点

このように、多くの英語を読んだ学生さんほど、平均的にはTOEICのスコアも高かったということです。しかも、平均180万語を読んだ8名のTOEICスコア平均(604点)は、10カ月の海外留学(滞在)経験のある学生さんのTOEICスコア平均(605点)とほぼ同じだったということです。

 

そして、30名全体の成果としては、以下のように書かれています。

  • The students read a median 690,000 words of easy-to-read books and increased
    their average TOEIC score to 507 by their fourth year.  (p. 638)

つまり、4年間で690,000語(中央値)を読み、TOEICスコア平均は507点に達したということです。

多読を長期間取り組むことの意義を感じさせられる結果ですね。

 

そして、この論文の最後には、多読指導を成功に導くために3つの提言がされています。

  1. A reading amount of 300,000 words was the threshold where many students started to show significant increases in TOEIC scores. To achieve this volume of reading, we need to have at least 2-3 consecutive years of SSR and a guaranteed scheduled reading time.   (p. 637)
  2. The second factor that led to the success of the reading program was to start with simple stories: SSS.  (p. 637)
  3. The third factor is the reading experience of the teachers. To aid the success of an ER program, we believe that teachers themselves have to read at least 1,000,000 words of the books that students are reading.  (p. 638)

つまり、TOEICスコアを上がり始めるには30万語を読んだ頃であり、その量を読むためには、少なくとも2~3年の多読授業が必要だ、ということです。また、非常に簡単な本から入る(SSS)ことも大切で、先生も少なくとも100万語の多読をして指導する必要があることが書かれています。

 

最後に

今回は、日本で多読の効果を広く伝えることになった論文、Nishizawa, Yoshioka, & Fukada (2010)をご紹介させていただきました。

この結果にどうしても注目しがちですが、各学年に合わせたYLの目標値の設定や、試験など、非常に緻密なご指導をされていることも書かれており、先生方のご指導の賜物だと感じ、敬意を表さずにはいられません。

ここに書いている以上の詳細が気になれば、ぜひ、論文を読んでみてくださいね!

 

ちなみに、多読とTOEICの関係についての研究として、O'Neill (2012)と、Rutson-Griffiths & Rutson-Griffiths (2018)の論文も紹介した記事があります。

erelc.hatenablog.com

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最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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