こんにちは♪
このブログでは、これまで多読とTOEICテストのスコアの関係について報告した、Storey, Gibson, & Williamson (2006)と、O'Neil (2012)の2つの論文をご紹介しました。
今回は、O'Neill (2012)から6年後に発表された、広島文教女子大学での多読実践と、TOEICテストのリーディングスコアの関係を調査したRutson-Griffiths & Rutson-Griffiths (2018)の論文をご紹介したいと思います♪
論文のデータ
今回ご紹介する論文は、以下のものです。
Rutson-Griffiths, A., & Rutson-Griffiths, Y. (2018). The relationship between extensive reading and TOEIC score gains. 『広島文教女子大学高等教育研究』4, 41-50.
http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/h-bunkyo/detail/1240420180419101927
論文の内容のご紹介
この研究の参加者は、2013年度から2016年度までの広島文教女子大学に通う学生さん105名です。この学生さんを対象に、週1回の必修のリーディング授業で1年間(正味10カ月間)、多読を授業外で宿題として課しました。
多読で本を読んだ後に、MReaderというものを使って、内容把握のクイズに答えて、ある一定以上の正答を得た場合に、その本を読んだとして、読語数としてカウントされる仕組みを取りました。そして、読語数を成績の30%分として評価しました。
この取り組みが、TOEICのリーディングスコアに与える影響を、取り組みの前後のスコアを比較することで調査しました。
この結果、参加者の10カ月間の平均読語数は、63,381語でした。
そして、リーディングスコアの伸びと読んだ量の関係について、以下のように報告しています。
A small but significant correlation was demonstrated between total words read and reading ease, as measured by average quiz score, and reading gains. We hope that this can demonstrate the value of extensive reading programmes, especially in situations where TOEIC score gains are highly valued. (p. 48)
つまり、10カ月で平均63,000語程度を読む指導を行った結果、その読んだ量と、TOEICのリーディングスコアの伸びには、有意な相関関係があった(r = .211, p = .016)と報告しています。要するに、この実践では、読んだ量が多ければ、TOEICのリーディングスコアの伸びの割合も偶然とは言えない確率で高かったということです。
これは、TOEICでスコアを伸ばしたいと考えて多読をしている人には、勇気づけられる結果ですね。
今回は、多読がTOEICのリーディングスコア伸長に効果的であることを報告した論文、Rutson-Griffiths & Rutson-Griffiths (2018)のご紹介でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬