タドキストによる英語多読ブログ

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「未知語に出会った時、その意味を正しく推測する人の特徴は?」を探究した論文 Teng & He (2015)のご紹介

こんにちは。

 

以前、このブログで、中国のNanning UniversityFeng Tengさんによる以下の論文についてご紹介させていただきました。今回、またFeng Tengさんを著者に含む研究で、英語を読む際に未知語に出会った時の推測に関する研究をご紹介させていただきたいと思います。

erelc.hatenablog.com

 

 

 

 

論文のデータ

今回ご紹介する論文は、以下です。

Teng, F., & He, F. (2015). Towards effective reading instruction for Chinese EFL students: Perceptions and practices of lexical inferencing. The English Teacher, 44(2), 56-73.

https://www.semanticscholar.org/paper/Towards-Effective-Reading-Instruction-for-Chinese-Teng-He/52da0913caf4abe644e5ce9e98c7efe90217ef84

 

 

論文の内容のご紹介

この論文は、以下の4つの研究課題を明らかにしようとしたものです。

(1) What strategies do EFL students often use when encountering unknown words? (読んでいる時に未知語があった時に、どのような方法を採るか)
(2) To what extent can EFL students recognize and recall the form and meaning from a one-time reading? (一度読んだことにより、どの程度、語の形や意味を認識したり、思い出したりすることができるか)
(3) Is vocabulary size a predictor in EFL students’ scores of the four measures? (語彙サイズは、上記4つの結果に影響を与える要因となるか)
(4) What lexical inferencing strategies will help learners perform positively in lexical inferencing practice?   (語彙の意味推測において、どんな方法が効果的に働くか)  (p. 58)

 

この研究の参加者は、中国のNannning Universityで、ビジネスを専攻する大学2年生45名。平均21歳で、海外留学経験はない学生さんたちです。

この参加者たちが知らない3,000語レベル以上の(参加者の平均の語彙サイズは2,208語)語彙10語を例文の中で読ませて、その未知語への推測手段などに関して、以下の3つの方法で探究しました。

  1. アンケート調査(45分)
  2. 英文テキストを読み、語彙テストの実施(1時間)
  3. インタビュー(10名の学生のみ、40分)

この研究結果のいくつかの要点をご紹介すると、以下となります。

  • in answering the first question of which strategy is the preferred one among
    participants, the data revealed that guessing word meaning from context is the most popular one. (p. 61)
  • the data revealed that vocabulary size provided a significantly predictive power in lexical inferencing.  (p. 63)
  • successful inferencers used context more frequently and effectively, demonstrated more active engagement during the inferencing process, and made more efforts at using, learning and memorizing the unknown words at a deeper level.  (p. 65)

つまり、未知語に遭遇した時に文脈から推測する方法を採る学生が一番多かったこと、文脈から推測する力を与えるのは語彙サイズであること正しい推測を可能にするためには、より頻繁に効果的に文脈を参照していたことなどが報告されています。

 

ただ、この論文を読んでいて、

  • 参加学生の語彙サイズの差が大きく、語彙推測テストの結果に差が出るのも自然と考えられること
  • インタビューに選出された10名の選出基準が明記されていないこと
  • 推測テストで用いた10語の選出基準が十分に検討されているかが読み取れないこと

などが分かればもっといいなと感じました。

ただ、英語学習者にとっては、未知語との遭遇というのは避けられないことですよね。この時にその意味を正しく推測できるかどうかは、元々の語彙サイズが大きいほど推測力が高まるし、文脈を効果的に参照できているかが要因となりうることを示唆したTeng & He (2015)のご研究は興味深く感じました。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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