タドキストによる英語多読ブログ

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日本の高校生に10分間の多読を行うことで読解速度の向上が見込めることを示した、Fujita & Noro (2009)の論文のご紹介♪

こんにちは♪

 

以前、このブログでは、多読が読解速度や読解力に与える影響を調べた研究として、Bell (2001)や、Tanaka & Stapleton (2007)の論文をご紹介させていただきました。

erelc.hatenablog.com

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今回ご紹介させていただくのは、日本人の高校生に10分間の授業内多読を実践した結果、読解速度や読解力や動機づけにどのような影響を与えたのかを探究した、Fujita & Noro (2009)の論文です。

 

 

  

論文のデータ

今回ご紹介する論文は、以下のものです。多読研究の中で、多くの研究者が参照、引用している有名な論文の一つです。

Fujita, K., & Noro, T. (2009). The effects of 10-minute extensive reading on the reading speed, comprehension and motivation of Japanese high school EFL learners. Annual Review of English Language Education in Japan, 20, 21-30.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/arele/20/0/20_KJ00007108566/_pdf/-char/en

 

論文の内容のご紹介

この研究の参加者は、76人の高校1年生(英検で3~4級くらいの英語力の生徒さん)。この生徒さんたちを対象に、教室にOxford Reading TreeORT)やLongman Literacy Land(LLL)などのやさしい英語の本を持っていき、英語の授業の最初10分間を多読に当てる実践を、11月~2月にかけて10回(合計で100分程度)行いました

 

この10分間多読活動が、読解速度や、読解力に与える影響を、EPER (Edinburgh Project on Extensive Reading)テストのLevel G (Ver.1 and Ver.2)を使って調査しました。また、この10分間多読活動が動機づけに与える影響は、30項目の質問を含んだアンケートを使って調査しました。

 

この10回の実践で、生徒さんたちは平均で2,517語の英語を読みました

そして、

  1. 多読量が多かったか少なかったか(1回の10分間の多読で約1,000語以上の英語を読んだか、それ以下かで分類)
  2. EPERテストで高かったか低かったか(EPERテストで9点以上か、8点以下かで分類)

の2つの観点から3つのサブグループを使って、読解速度、読解力、動機づけの影響を詳細に分析しました。

 

この研究結果は、論文のConclusionに、以下のようにわかりやすくまとめられています。

The present study has revealed that an early stage of 10-minute extcnsive reading improves students' reading speed, but not their reading comprehension.  Both intrinsic-and extrinsic motivations were also enhanced.  The detailed group analysis showed that higher-ability students increased their intrinsic motivation, while, Iower-ability students who read extensively raised their class-related extrinsic motivation.  Pre-reading English ability was the only significant explanatory factorto ER.  The implication was that a strong guidance and directionto ER isnecessary for beginning learners.  (p. 29)

つまり、10分間の授業内多読10回(合計で2,500語程度の多読)であっても、読解速度は、改善されますが、一方で、読解力の向上への影響は十分ではないということです。

また、英語力によって多読の取り組みや、動機づけへの影響が異なったようで、高い英語力の生徒さんは、内発的な動機づけ(英語の本を楽しんだり、英語の読書自体への意味を感じたりすること)が高まり低い英語力の生徒さんは、授業だから取り組むといった、授業に関連した外発的動機づけが高まったとのことです。

 

高校生という学習指導要領で縛りがきつい中でも、授業で10分間の多読活動を採り入れることで、読解速度が高まる可能性を示した示唆はとても大きなものですよね♪

それに、英語力が高い生徒さんは、多読をすることで内発的な動機づけが高まることで、どんどん自ら英語学習に向かってくれる可能性が高いですよね。それが、他の生徒さんたちにもいい影響を与えそうですね♪

 

今回は、Fujita & Noro (2009)の論文を紹介させていただきました。とても論理的に、わかりやすく書かれているので、読みやすい論文でした。ご関心があれば、ぜひぜひ、チェックしてみてくださいね♪

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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