タドキストによる英語多読ブログ

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読む時間を増やし、エクササイズを組み合わせることで、多読の効果が高まる可能性を示唆した論文、Sheu (2004)のご紹介

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、読む時間を増やし、エクササイズを組み合わせることで、多読の効果が高まる可能性を示唆した論文、Sheu (2004)をご紹介したいと思います。

 

 

論文のデータ

今回ご紹介するのは、以下の論文です。30編以上の論文などで引用されています。

Sheu, S. P-H. (2004). The effects of extensive reading on learners’ reading ability development. Journal of National Taipei Teachers College, 17(2), 213-228. 

https://www.semanticscholar.org/paper/The-Effects-of-Extensive-Reading-on-Learners%27-Sheu/04a3e7b1f3512edac7006df34cf602bb424101cc

 

論文の内容のご紹介

この論文では、2つの研究(研究1、研究2)が扱われています

どちらの研究課題も、以下の2点が設定されています。

 

  1. Will the students in the two experimental groups perform differently in the 
    language and reading speed tests from those in the current instruction? If so, in what aspect
  2. Will the students in the two experimental groups develop different attitudes 
    toward learning English and reading from those in the current instruction? 

すなわち、2つの実験群は、これまでの伝統的な教え方と比較して、読解速度や言語発達において異なる差が生じるかということと、2つの実験群は、これまでの伝統的な教え方と比較して、英語学習や英語読解に対して異なる姿勢を身につけるのか、という2つの研究課題です。

 

そして、2つの実験群と、統制群は、以下が概要になります。

  • 実験群1:英語学習者用の読み物であるGraded Readersを使って多読をするグループ
  • 実験群2:英語ネイティブの読み物を使って多読をするグループ
  • 統制群:教科書を使ったエクササイズなどを中心にした伝統的な指導グループ

 

研究1
  • 参加者台湾の高雄地区の中学校2年生の生徒(13~14歳)。
  • 研究方法45分の授業週に1回の授業について、指導方法を上記のように3グループ間で変えて、4カ月間指導を行った。多読をするグループの参加者は、各自が選書を行った。
  • 検証方法:4カ月の指導の前後で、語彙や文法の知識読解力への影響を、Cambridge Key English Test (KET)を使って調査した。読解速度への影響は先行研究からの題材を使って調査した。また、アンケートを使って、態度面への影響の調査も行った。
  • 結果語彙は実験群1>実験群2・統制群、文法は3群とも変化なし、読解力は実験群1・実験群2>統制群、読解速度は3群とも上昇、英語学習への姿勢は実験群1>実験群2・統制群、英語読解への姿勢は3群とも変化なし

というものでした。

 

研究2
  • 参加者台湾台北地区の中学校の生徒(13~14歳)。
  • 研究方法45分の授業週に2回の授業について、指導方法を上記のように3グループ間で変えて、4カ月間指導を行った。多読をするグループの参加者には、導入レッスン、ストラテジーレーニング、多読進捗状況の張り出し、指導する先生へのレポートなどを行いました。
  • 検証方法:4カ月の指導の前後で、語彙や文法の知識読解力への影響を、Cambridge Key English Test (KET)を使って調査した。読解速度への影響は先行研究からの題材を使って調査した。また、アンケートを使って、態度面への影響の調査も行った。
  • 結果語彙は3群とも上昇、文法は実験群1・実験群2>統制群、読解力は実験群1・実験群2>統制群、読解速度は3群とも上昇、英語学習への姿勢は実験群1・実験群2>統制群、英語読解への姿勢は実験群1・実験群2>統制群

というものでした。

 

この2つの研究を持って、以下のように述べています。

  • The results showed that when the reading time was limited and only reading was involved in the experiment, the reading speed of the three groups was improved, but they performed differently in the language tests after the experiment, and also their attitudes became negative to English learning and reading. When the time was doubled and collaborative activities were included, the two ERP groups came out as clearly better to the control group in all aspects of language development, and also developed positive attitudes.  (p. 213)

つまり、読む時間を増やし、様々なエクササイズなども加えることで、多読の言語の様々な側面に対する効果だけでなく、言語学習や英語を読むことに対する姿勢も改善されるということです。

 

最後に

この論文を読んでいて、

  • 何人の生徒さんたちが参加したのかについて書かれていないこと
  • 2つ目の研究の参加者は中学校何年生かが書かれていないこと
  • 研究1では、英語ネイティブ用の読み物で多読したグループの情意面が有意に低下したことが指摘されていて、その原因が深く考察されていないこと
  • 読む時間とエクササイズのどちらが、なぜ影響を与えたのかについて深く考察されていないこと

などが気になりましたが、みなさんはいかがでしょうか?

 

ただ、2004年の時点で、日本と同じ東アジア圏での多読実践による効果を報告した貴重な研究の一つだとは思いました

 

ここで紹介した以上のことが知りたい場合には、ぜひ、論文を読んでみてくださいね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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