タドキストによる英語多読ブログ

1000万語以上の多読経験をもとに、多読の魅力を発信するブログです!本には魅力がいっぱい。英語の本を通して、人生を深く、豊かなものに。

日本を舞台にしたコールデコットオナー賞作品 『The Boy of the Three-Year Nap』のご紹介♪

こんにちは♪

 

明日からゴールデンウィークという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ゴールデンウィークなんて関係ないという方もおられると思いますが、毎日を笑顔で過ごしていきたいですね♪

 

 

 

本について

さて、今回ご紹介するのは、日本でお馴染みの民話で『三年寝太郎』で知られているお話を、Dianne Synderさんが書き、横浜生まれのイラストレーターのAllen Sayさんがイラストを手掛けた絵本、『The Boy of the Three-Year Nap』です。

1989年のコールデコットオナー賞に輝いた作品でもあります。

 

YL 2.0~2.5程度 語数 1,673語   Lexile: AD610Lです。

The Boy of the Three-Year Nap

The Boy of the Three-Year Nap

  • 作者:Snyder, Dianne
  • 発売日: 1993/10/14
  • メディア: ペーパーバック
 

 

本の内容のご紹介

鵜飼で有名な長良川のほど近く、女手一つで一人息子を育てる家族がいました。
女性は着物を作って生計を立てているものの、決して豊かな生活ではなく、あちこち修復が必要な家に暮らしていました。

ただ、問題はこの家のドラ息子の太郎寝ることと食べることしかしない太郎は、周りからは"The boy of the three-year nap"(三年寝太郎)と揶揄されていました

 

そんなある日、太郎の家のそばに、豪農の一家が引っ越してきました。大きな家を持ち、豊かに暮らすこの家の庭にしばしば潜り込んでは、太郎の中に羨ましい気持ちが募っていきました。

そして、母親から働くようにせっつかれることが多くなった太郎は、ある計画を立てます。母親に、黒の着物と帽子を作るようにお願いしましたが…。
果たして、その計画とは…?

 

続きが気になる方、また結論は知っているけれど、英語で読みたい方は、ぜひぜひ、ご自身でチェックしてみてくださいね!

 

最後はあっと言わせる展開と、Sayさんの繊細なタッチのイラストが素晴らしい作品です。Sayさんは、後にGrandfather's Journeyコールデコット賞にも輝いた素晴らしいイラストレーターです。

 

最後に

この作品を日本語に訳した、いわば逆輸入の作品として、以下の『さんねんねたろう』があります。

さんねんねたろう
 

 

この本の和訳ではなく、このお話は、他にも、日本で多く刊行されています。たとえば、以下は大川悦生さんによる作品です。

こちらが気になれば、合わせてチェックしてみてくださいね♪

 

このブログでは、英語の絵本や多読図書の紹介もしています。Allen Sayさんの作品も多くご紹介しています。過去の記事として、以下のようなものもありますので、もしご関心があれば、あわせてチェックしてみてくださいね!

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

Allen Sayさんの生涯や、まとめ記事は、以下からアクセスできます。

erelc.hatenablog.com

 

 また、日本を舞台にしたコールデコットオナー賞受賞作品としては、『Crow Boy』があります。

erelc.hatenablog.com

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

語彙力にはどんな側面があるの? Meara (1996)の論文から

こんにちは♪

 

前回の記事では、多読を通して繰り返し英語に触れることによって、語彙を身につけることができるかに関して、Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)の論文を紹介させていただきました。

erelc.hatenablog.com

 

 

1.はじめに

 今回も、ちょっと硬めの記事で、「じゃあ、「語彙力」にはどんな側面があるの?」という疑問をお持ちの方に、論文を1つ紹介させていただきます♪

今回ご紹介するのは、英国ウエールズにあるSwansea Universityで名誉教授を務められるPaul Meara先生の以下の論文です。

 

Meara, P. (1996). The dimensions of lexical competence. In G. Brown, K. Malmkjaer, & J. Williams (Eds.), Performance & competence in second language acquisition (pp. 35-53). Cambridge University Press.

 

2.論文の内容のご紹介

この論文は、タイトルにある通り、語彙力(lexical competence)の諸側面を説いたものです。結論からいえば、この論文では、語彙力は、

  1. 語彙サイズ(vocabulary size)
  2. ネットワーク(organisation)

の2つの側面から捉えられるとしています。

 

語彙サイズというのは、「どれだけ知っている語数があるか」を示す指標です

例えば、"dog"であれば、「犬」と知っていますよね。こういった語の数を、語彙サイズとして計算していきます。一方で、例えば、"preponderance"という語を知らないとします。こういった語は、語彙サイズに含まれません。

当然、多くの語を知っていれば、「語彙力がある」と言える。これは、分かりやすい論理ですよね

 

この論文では、サイズだけでなく、深さ(どれだけ深くその語を知っているか)も語彙力のもう一つの側面といっていて、その「深さ」の中でも、語彙全体がどのように構成されているか、ネットワーク化されているかが重要と考えています

例えば、"sea"という語であれば、"beach"や"swim"や"summer"などを思い浮かべるかもしれません。また、"listen"という語であれば、直後に"to"が続くことが多いと思い浮かべるかもしれません。

こういった、語と語の想起関係が豊かであることが語彙力のもう一つの指標と言っています。

 

そして、この2つの側面に関して、以下のように述べています。

I have suggested, for instance that the size dimension becomes less important, and that the organisation dimension might increase in importance, as the size of the lexicon gets larger. 

 

つまり、語彙サイズが大きくなるほど、サイズよりもネットワークが重要になるということです。そして、その閾値として、最初の5,000~6,000語を習得するまではサイズがより重要であることも述べられています

 

すると、ほとんどの日本人の英語学習者にとっては、語彙サイズを増やすことが大切ということになりますね

みなさん、いかがお考えでしょうか?

 

今回は、語彙力の側面に関する論文のご紹介でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

それでは、Happy Reading♬

多読で語彙を習得するには? Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)の論文から

こんにちは♪

 

 

はじめに

今日は少し硬い内容ですが、論文の概要をご紹介したいと思います。今回ご紹介させていただくのは、以下の論文です。

 

Uchihara, T., Webb, S., & Yanagisawa, A. (2019). How useful is repeated exposure to words for vocabulary learning? OASIS Summary of Uchihara et al. in Language Learning. https://oasis-database.org

 

論文の内容のご紹介 

第二言語習得の研究では、多読など、意味に注意を払いながら語彙を習得していくことを、付随的語彙学習(incidental vocabulary learning)といって、単語帳や辞書などを使って語彙を学ぶ意図的語彙学習(intentional vocabulray learning)と区別されます。

 

この論文では、「語彙を付随的に習得するのに何度くらい繰り返しその語彙に出会えばいいのか」をテーマに発表されたこれまでの論文をレビュー(「メタ分析」といいます)して、繰り返しの回数と、付随的な語彙習得との関係を明らかにしようとした論文です。

 

これまで、付随的に語彙を習得しようとすれば、その語彙に出会わなければならない回数は、6回、8回、10回、12回、20回以上...と、過去の研究には大きな幅がありました。

 

この論文では、これまで発表された26本の論文を分析して、繰り返しの回数と、付随的な語彙集との間の相関は中程度(r = .34)と結論づけています

そして、過去の研究での繰り返しの数の幅は、年齢や語彙知識といった学習者要因や、学習期間や視覚的なサポートを使ったかどうかといった指導要因や、研究の際に実在しない語彙を使ったか、指導後に試験があると伝えたかどうか、テスト形式はどのようなものかといった研究方法要因などから説明できることを述べています。

 

結論としては、以下のように述べられていました。

The findings demonstrated that although frequency of encounters is an important predictor of incidental vocabulary learning, it is not a single determiner but one of many factors affecting vocabulary learning through meaning-focused input.  (p. 589)

 

つまり、繰り返し回数は、付随的な語彙習得を予測する重要な要素ではありますが、唯一の決定要素ではなく、複数ある要因の一つであるということです。

 

多読で語彙は増える可能性は高いし、多く読めばそれだけ多くの語彙と出会って習得が進む可能性が高まるけれど、回数だけが全てではないということなのですね

では、どのような要素を組み合わせて語彙を高めていけばいいのか、これからの研究に期待したいと思います♪

 

最後に

執筆者のおひとり、Webb先生の研究論文として、Webb & Macalister (2019)やWebb (2008)をご紹介したものもあります。

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

英語多読を取り入れている教育機関のご紹介 桐蔭学園さん

こんにちは♪

 

今回は、英語指導の一環として多読を推進する教育機関として、神奈川県の大規模校の桐蔭学園をご紹介したいと思います。

先日、桐蔭学園岡田直哉校長のブログの以下の記事を見つけました。桐蔭学園高校では、「入学したての高校1年生は1学期のうちに100冊以上、そして年間7万語以上読むことを目標に掲げて多読教育を取り入れているそうです。

 

toin.ac.jp

 

桐蔭学園高校のような大規模校で一斉に多読を取り入れるとなると、多読図書の準備はもとより、先生方から理解や協力を得たりするのも並大抵のことではないと思います

 その状況の中でも、新しい試みを始められた桐蔭学園の今後に注目ですね。ぜひぜひ、また好調ブログなどで情報を発信していただきたいところです♪

 

そんな桐蔭学園での多読の取り組みは、日本多読学会/Extensive Reading Association

でご発表もされているようで、私たちもその一端を垣間見ることができそうですね。

  

また、桐蔭学園のホームページを見ると、「桐蔭英語村」という「楽しく、自然に英語を使う場」があるそうです。これもとっても魅力的ですね!

多読で吸収した英語を、この英語村で使えば、かなり身につきそうです

toin.ac.jp

 

今回は、英語を取り入れている教育機関として、桐蔭学園をご紹介しました。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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