こんにちは♪
前回の記事では、多読を通して繰り返し英語に触れることによって、語彙を身につけることができるかに関して、Uchihara, Webb, & Yanagisawa (2019)の論文を紹介させていただきました。
1.はじめに
今回も、ちょっと硬めの記事で、「じゃあ、「語彙力」にはどんな側面があるの?」という疑問をお持ちの方に、論文を1つ紹介させていただきます♪
今回ご紹介するのは、英国ウエールズにあるSwansea Universityで名誉教授を務められるPaul Meara先生の以下の論文です。
Meara, P. (1996). The dimensions of lexical competence. In G. Brown, K. Malmkjaer, & J. Williams (Eds.), Performance & competence in second language acquisition (pp. 35-53). Cambridge University Press.
2.論文の内容のご紹介
この論文は、タイトルにある通り、語彙力(lexical competence)の諸側面を説いたものです。結論からいえば、この論文では、語彙力は、
- 語彙サイズ(vocabulary size)
- ネットワーク(organisation)
の2つの側面から捉えられるとしています。
語彙サイズというのは、「どれだけ知っている語数があるか」を示す指標です。
例えば、"dog"であれば、「犬」と知っていますよね。こういった語の数を、語彙サイズとして計算していきます。一方で、例えば、"preponderance"という語を知らないとします。こういった語は、語彙サイズに含まれません。
当然、多くの語を知っていれば、「語彙力がある」と言える。これは、分かりやすい論理ですよね。
この論文では、サイズだけでなく、深さ(どれだけ深くその語を知っているか)も語彙力のもう一つの側面といっていて、その「深さ」の中でも、語彙全体がどのように構成されているか、ネットワーク化されているかが重要と考えています。
例えば、"sea"という語であれば、"beach"や"swim"や"summer"などを思い浮かべるかもしれません。また、"listen"という語であれば、直後に"to"が続くことが多いと思い浮かべるかもしれません。
こういった、語と語の想起関係が豊かであることが語彙力のもう一つの指標と言っています。
そして、この2つの側面に関して、以下のように述べています。
I have suggested, for instance that the size dimension becomes less important, and that the organisation dimension might increase in importance, as the size of the lexicon gets larger.
つまり、語彙サイズが大きくなるほど、サイズよりもネットワークが重要になるということです。そして、その閾値として、最初の5,000~6,000語を習得するまではサイズがより重要であることも述べられています。
すると、ほとんどの日本人の英語学習者にとっては、語彙サイズを増やすことが大切ということになりますね。
みなさん、いかがお考えでしょうか?
今回は、語彙力の側面に関する論文のご紹介でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは、Happy Reading♬