タドキストによる英語多読ブログ

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英文テキストの読みやすさ、直感をよりよく反映したのは「Coh-Metrix」それとも「Flesch」? Crossley, Allen & McNamara (2011)の論文から

こんにちは。

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

 

今回は、英文テキストの読みやすさに関して、直感をよりよく反映しする指標と研究した論文、Crossley, Allen & McNamara (2011)をご紹介させていただきます。

 

 

1.はじめに 

多読を進める上でとても参考になるYL(読みやすさレベル)。このYLを少し硬い言い方で説明するならば、「日本人にとっての読みやすさを主観で示したリーダビリティー(readability:読みやすさの指標のこと)」ということになるかと思います。

YLであれば、0.0~9.9までで読みやすさが示されて、数値が低いほど読みやすいという目安になりますよね。

 

でも、英語教育などに携わっている方や、英語を熱心に学習されている方には、LexileFlesch Reading Easeといったリーダビリティーも耳にしたことがあるのではないでしょうか。LexileであればAmazonの洋書でも表示されていることがありますし、FleschであればMicrosoftのワードでも簡単に計測できますよね。

 

これだけリーダビリティーがあると、どれを使ったらいいのか迷ってしまいますよね。それに、英語のテキストには、"beginning"や"intermediate"や"advanced"といったレベルがされていますが、そのほとんどは直感(intuition)によってテキストが簡略化され、レベル分けされています

 

2.論文について

今回ご紹介させていただくのは、以下に挙げる、英文テキストのリーダビリティーの要因に迫った論文で、これまで200編以上の論文などに引用されている有名な論文です。

 

Crossley, S. A., Allen, D. B., & McNamara, D. S. (2011). Text readability and intuitive simplification: A comparison of readability formulas. Reading in a Foreign Language, 23(1), 84-101.

https://files.eric.ed.gov/fulltext/EJ926371.pdf

 

3.論文の内容のご紹介

この論文で分析に用いた英文素材は、英語学習者用に3段階(beginning / intermediate / advanced)に直観によって簡略化されたニュースの英文300編(合計で210,538語分の分量)です。

 

この英文を、以下の二つのリーダビリティー指標の間で比較し、どちらの指標が、直感の難易度分けとより合致しているのかを分析しました。

  1. 伝統的なリーダビリティー:一文の長さや語の長さを主たる基盤にして読みやすさを算出する指標。具体的には、Fresch Kincaid Grade LevelFlesch Reading Easeの2つ。
  2. Coh-Metrix L2 Reading Index:読解に影響を及ぼすとされる心理言語学や認知的な側面を加えて読みやすさを算出する指標。具体的には、統語上の繰り返しや統一性、語の繰り返しなどを、読みやすさの算出の式に組み込んでいます。

 

合致率としては、以下のようになりました。

  1. Fresch Kincaid Grade Level:49.3%
  2. Flesch Reading Ease:44.3%
  3. Coh-Metrix:60.0%

 

そして、以下のようにまとめられています。

  • This study demonstrates that the Coh-Metrix L2 Reading Index had moderate readability success at classifying news texts and was significantly more accurate than traditional redaility formulas.   (p. 98)

つまり、FleschよりもCoh-Metrixの方が英語学習者にとって直感に沿う英文の読みやすさをより正確に評価できる計算式であるという結論です。

 

4.最後に

確かに、Fleschはワードを使って簡単に算出できますが、母語話者用のリーダビリティー指標であって英語学習者には向かないなどの批判が多く寄せられている指標でもあります。その意味では、英語学習者用の読みやすさの算出や、難易度分けには、文や語の長さ以上の指標を含んだCoh-Metrixの方が有用であるということを示したこの論文は参考になりますね。

 

ちなみに、Coh-Metrixの詳細は、以下のリンクから辿れますので、気になる方はチェックしてみてくださいね!

特に、英語教育に携わっていらっしゃる方には、テストを作ったりする際にも結構便利なのではないでしょうか?

cohmetrix.com

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading!

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