タドキストによる英語多読ブログ

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1993年当時のGraded Readersの出版状況や課題などがわかる研究 Thomas & Hill (1993)のご紹介♪

こんにちは♪

 

以前、このブログではGraded Readersとは何かに関する記事を書かせていただきました。また、Graded Readersが英語力に与える可能性に迫ったNation & Deweerdt (2001)による研究も紹介させていただきました。

erelc.hatenablog.com

erelc.hatenablog.com

 

今回は、Graded Readers研究の第一人者のお一人でいらっしゃるDavid R. Hill先生が著者のお一人に含まれる、Thomas & Hill (1993)の調査論文を紹介させていただきます♪

この論文では、1993年当時のGraded Readersの出版状況や課題などを知ることができます。

 

 

 

 

論文のデータ

今回ご紹介する論文は、以下のものです。

Thomas, H.C., & Hill, D. R. (1993). Seventeen series of graded readers. ELT Journal, 47(3), 250-267.  

https://academic.oup.com/eltj/article-abstract/43/3/221/385303?redirectedFrom=PDF

Graded Readersの研究などで、しばしば引用される論文です。

 

 

論文の内容のご紹介

この論文では、1993年当時のGraded Readersの出版状況や課題などを知ることができますこの論文で紹介されているGraded Readersは、以下の17のシリーズです。

  1. Heineman Guided Readers
  2. Heineman New Wave Readers
  3. Longman Easy Starts
  4. Longman Famous Lives
  5. Macmillan Bookshelf
  6. Nelson English Readers Library
  7. Oxford Bookworms
  8. Oxford Streamline Graded Readers
  9. Penguin Simply Stories
  10. Heineman Junior African Writers Series
  11. Macmillan MacTracks
  12. Macmillan Pacesetters
  13. Jupiter Readers
  14. Sing Tao Readers
  15. Falcon Readers
  16. Tapir Readers
  17. Witman English Readers

この論文では、これら17のシリーズについて、それぞれの特徴などを説明し、Graded Readers全体の視点から、これまでの発展状況や、これからの開発の方向性などを簡潔にまとめています。

 

まず、上の17のシリーズをご覧になればわかるように、出版社の変遷やシリーズの廃刊などで、現在主に使われているGraded Readersとは大きく異なることがわかりますね。

それに、今であれば、英語圏の出版社だけでなく、アジア圏の出版社からもGraded Readersが次々に出版され、その質も量も向上しているように感じます

 

この1993年当時のGraded Readersの状況としてご紹介させていただきたい記述は以下のようなものです。

  • As for genres, we would like to see more humour, especially at the lower levels where illustrations can provide so much support for the text. There are many examples of very funny books in L1 reading material, but relatively few among L2 graded readers.  (p. 252)
  • There seem to be good reasons for suggesting that non-fiction is less useful in encouraging extensive reading, except for biography and travel, both of which have a strong narrative element.  (p. 252)

つまり、特にイラストを多く含んだ下のレベルの読み物であれば、母語話者用の読み物のように、もっとユーモアのきいたものが必要であるということが述べられています。また、Graded Readersとしては、ノンフィクションの方がフィクションよりもやや不向きであることが書かれています。

 

皆さんは、この1993年での記述について、どうお感じになりますか? ?

 

現在は、ノンフィクションのシリーズも出版され、例えばOxford Read and Discoverシリーズや、Footprint Reading Libraryシリーズのようなシリーズも人気ですよね。

ユーモアのきいた作品はどうでしょうか。確かに児童書と比較すれば、まだまだ少ないかもしれませんね

 

Thomas & Hill (1993)の論文では、結論として以下のことを述べています。

There is undoubtedly a strong demand for graded readers. Teachers and students see them as a means to increase students' exposure to English outside the classroom and to inject some real purpose in using English.  (p. 265)

つまり、Graded Readersは教室外で英語にふれる機会を増やし、英語を使うリアルな目的を知らしめることができる点で、Graded Readersは間違いなく強い需要があるとまとめています。

 

最後に

多読の発展の背景には、良質なGraded Readersの開発があります。多読への研究は多いですが、Graded Readersに関する重要な研究の一つ、Thomas & Hill (1993)を紹介させていただきました。

ここに書いている以上の詳細が気になれば、ぜひ、論文を読んでみてくださいね♪

 

また、このブログでは、Graded Readersに関連した研究を紹介した記事もあります。

erelc.hatenablog.com

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最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、Happy Reading♬

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