絵本の中には、タイトルだけ文字が書いてあって、中には文字が一切書かれていないものもあります。
今回は、文字のない絵本(wordless picture book)と多読の観点から書きたいと思います♪
英語多読では、本の難易度をYL(読みやすさレベル)という、日本人にとってのリーダビリティー指標を使って表しますが、文字のない絵本はYL 0.0とされます。そして、語数はタイトルで書かれている英単語のみカウントします。
YL 0.0が設定されているのは、主に絵本や、Leveled Readersといった英語ネイティブの子ども用の読み物で、Graded Readers(英語学習者用の読み物)には、たぶんないと思います。
「文字がない絵本をどう読むの?」という疑問がわくと思います。確かに「読む」ことはできないのですが、絵を見ながら、想像と創造で一人ひとり違うお話を作っていくにはぴったりだと思います。
加藤映子先生の『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』では、日本の読み聞かせでは、親が文字を読み、子どもは静かに聞く傾向があるのに対して、アメリカの読み聞かせでは、親が子どもに質問を投げかけたり、感想を聞いたりしながら対話を通して行う傾向があることを指摘しています。
このように対話(ダイアログ)を通す読み聞かせを、「ダイアロジック・リーディング」と呼ぶとのことです。
この観点からは、文字のない絵本は、親と子ども、教師と生徒が対話を通して読むのにいいと思います。もちろん、一人で想像豊かに読んでいくのも、きっと楽しいと思います。
今回は、文字のない絵本のうち、アメリカの優秀な絵本に贈られる権威ある賞である「コールデコット賞(Caldecott Medal)」か、その次点にあたる「コールデコットオナー賞(Caldecott Honor)」を受賞した作品をいくつか紹介したいと思います。
気になるものがあれば、ぜひ読んでみてくださいね♪
① Flotsam David Wiesner著 YL 0.0 1語
表紙に金色に輝くメダルは、コールデコット賞授賞の証。このコールデコット賞を3度も受賞した絵本作家David Wiesnerさんによる絵本です。
ある男の子が、海辺で不思議なカメラを見つけました。そのカメラに写っていたのは、何だったのでしょうか・・・?
②Journey Aaron Becker著 YL 0.0 1語
ある一人の孤独な女の子が、不思議な赤いペンを使って不思議な旅(Journey)を体験します。その旅を、是非ご一緒にどうぞ。表紙に描かれている銀色のメダルは、コールデコットオナー賞を受賞した証です。
③Truck Donald Crews著 YL 0.0 1語
表紙に描かれている赤色のトラックが街を走ってゆきます。その景色の移り変わりがストーリーを作り上げています。こちらも、コールデコットオナー賞を受賞しています。
④Free Fall David Wiesner著 YL 0.0 2語
Flotsamと同様、David Wiesnerが手掛けた絵本です。絵がもう芸術作品です。ぜひ、ご自身でお確かめください。こちらも、コールデコットオナー賞を受賞しています。
⑤ Sector 7 David Wiesner著 YL 0.0 2語
こちらもDavid Wiesnerさんによる作品。これだけ質の高く独創的な作品を仕上げることに対して、敬意を感じずにはいられません。
少年が遠足で高層ビルに来て、とても不思議な体験をします。まるで夢の中を追体験できるような絵本です。
⑥The Red Book Barbara Lehman著 YL 0.0 3語
こちらも見事な本で、コールデコットオナー賞受賞です。女の子が見つけた一冊の赤い本から、お話が展開していきます。
文字のない絵本の魅力は、読み方が自由で正解がないこと。その意味では、読書の本質を教えてくれる本なのかもしれませんね。
想像力をめいいっぱい働かせて、創造的なお話を自分の中で紡いでいきたいですね。
このブログでは、文字のない絵本として、いくつかご紹介したことがあります。
以下のカテゴリーから検索できますので、ご利用ください!
それでは、Happy Reading♬